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否定文

否定文

否定文

動詞を ne と pas で挟むと、否定文になります。

ne と pas の位置については、代名詞が2つ以上重なる場合の語順の表と、「否定の ne と pas の位置」を参照してください。
ne は動詞の前に置きます(動詞の前に代名詞がついている場合は、代名詞の前に置きます)。 pas は動詞の直後に置きます。

もともと ne は英語の not に相当し、ne だけで否定を表していました。
ne を強くラテン語のように「ネー」と発音していた頃はよかったのですが、発音の変化により、次第に「ヌ」と発音するようになり、言ったか言わないか、聞き取りにくくなってきました(否定か肯定か間違えると大変です)。

そこで、聞き取りやすいように、pas も一緒につけるようになりました。もともと pas は「歩み、一歩」という意味で、本来は「一歩も... ない」という強調表現でした。しかし、だんだん ne と pas をセットにするのが標準的な否定の表現になっていきました。

同様に、
  「ne... pointまったく... ない)」
も、もともと「point」は「点」という意味で、「一点も...」という強めです(ただし、現在では「強め」の意味は薄れ、「文語調」という感じになっているので、必ずしも「まったく」と訳す必要はありません)。

現代では、特に否定を強調したい場合は、
  「ne... jamais絶対に... ない)」
などが使われます(「jamais」は「決して...」)。

主な否定の表現を以下にまとめてみます。

1ne... pas... ない一般的な否定の表現。
2ne... pointまったく ... ない強調。
3ne... jamais絶対に(決して) ... ない強調。
4ne... guèreほとんど ... ない
5ne... plusもはや ... ない
6ne... que ~~しか ... ない次の項目に記載
7ne... plus que ~もはや ~しか ... ない5 と 6 が組み合わさった表現
8ne... rien何も ... ない「rien」は英語の nothing に相当する代名詞。但し ne と併用する。主語なら Rien... ne となる
9ne... personne誰も ... ない「personne」は代名詞。主語なら Personne ne... となる
10ne... pas un ~ひとつの~も ... ない「un」は不定冠詞で、否定文で使うと「強調」になる
11aucun ~ ne...いかなる~も ... ない
一つの~も ... ない
「aucun」は形容詞(不定形容詞)。女性形は「aucune」。英語 any
12ni A ni B ne...A も B も ... ない英語の neither A nor B に相当するが、ne も入る。最初の ni は省略される場合もある

表の「...」の部分に動詞がきます。
ne は副詞で、表の 1 ~ 5 の pas, point, jamais, guère, plus も副詞です。
point, jamais, guère, plus は pas と同じ位置に置きます。
表の 8 ~ 12 は、「ne...」の部分が他の位置(後ろまたは前)にきても構いません。

ne... que ~

「ne... que ~ (~しか ...ない)」はフランス語特有の重要な表現です。
もとの意味は「~以外は... ない」。つまり「~のみ...」という意味です。
ne があるからといって、否定の意味に取ると間違いのもとです。

「...」のところにくる動詞が être (~である)の場合、(よく使われる 3 人称単数の形で書くと) n'est que ~ で次の 3 通りの訳が可能です。

  ~でしかない
  ~にすぎない
  ~にほかならない

例えば、17世紀の思想家パスカルの言葉、

  L'homme n'est qu'un roseau.

は、次のように 3 通りに訳せます。

  人間は一本の葦(あし)でしかない
  人間は一本の葦にすぎない
  人間は一本の葦にほかならない

この文から ne と que を省くと、

  L'homme est un roseau. (人間は一本の葦である)

となり、意味はほとんど変わりません。
このパスカルの言葉は、日本ではこのように「人間は一本の葦である」と訳されることもありますが、これは ne... que のニュアンスを無視した訳であり、厳密には上の 3 つのいずれかの訳になります。
逆に言うと、「ne... que」は省いても意味はあまり変わらず、否定ではなく肯定であり、強調表現なのです。

なお、上の表の 1 ~ 5 の pas, point, jamais, guère, plus は動詞の直後に置かれますが、ne... que の場合は、限定したい言葉の直前に que を置くので、ne と que の間が相当離れる場合があるので、注意が必要です。

その他の否定の表現

 1. A et non B (A なのであって、B なのではない)

et non というのは、接続詞 et (そして)の前までの文を否定しながら受ける言葉です。 et の前までで、いったん文が完結するのが特徴です。
例えば、

  Il est fatigué et non malade. (彼は疲れているのであって、病気なのではない)

「fatigué (疲れている)」と「malade (病気の)」は、どちらも形容詞です。

non を使わずに書き換えるには、et の前までの文の主語と動詞に ne と pas を追加します。
上の例文なら、次のようになります。

  Il est fatigué et il n'est pas malade.

つまり、この場合は「non」=「il n'est pas」です。

「fatigué」と「malade」は、どちらも同じ文の要素(この場合は属詞)になっていて、対比されています。

また、pas を入れて et non pas と言うこともあります
上の例文だと、次のように言う場合もあります。

  Il est fatigué et non pas malade.

  ⇒ 他の例文

 2. Nul ne... (いかなる人も...ない)

nul はいくつかの用法があり、詳しくは辞書で nul を引くと載っていますが、ここでは nul が代名詞(不定代名詞)として主語になる場合について説明します。

主語になる nul は否定の ne とセットで使用し、

  「Nul ne...」で「いかなる人も...ない」「何人(なんぴと)も...ない」

という意味で、少し硬い表現で使われます。
通常、この意味でよく使われるのは「Personne ne...」(誰も...ない)という表現です。
ですから、主語の「Nul」は「Personne」で置き換えることが可能です。

  ⇒ 例文 1  ⇒ 例文 2

虚辞の ne

従属節で、接続法と一緒に出てくることが多い、あまり意味がない「ne」です。意味がない、空虚な言葉だという意味で「虚辞の ne」と呼ばれています。例えば、

  • Je crains qu'il ne pleuve. (私は雨が降るのではないかと恐れている)
    単語の説明:「crains」は他動詞 craindre(恐れる)の直説法現在(1人称単数)。「恐れを意味する動詞」なので、「craindre que... (...ということを恐れる)」と言う場合は que... の後ろの動詞が自動的に接続法になります。そのため「pleuvoir( [雨が] 降る)」という動詞が「pleuve」というように接続法現在(3人称単数)になっています。「il」は天候を表す表現で使う非人称の il

意味的には「雨が降ることを恐れている」はずなのに、日本語でも「雨が降るんじゃないかと恐れている」というように、なぜか「ない」という言葉を入れたくなってしまいます。フランス語でも、「craindre que...」など、ある種の言いまわしのあとでは、あまり意味のない「虚辞の ne 」が入りやすくなります。辞書にすべて記載されていますので、最初は個々に覚えていくしかありません。しかし、虚辞の ne の場合は、「pas」またはそれに類する言葉がなく ne 単独で出てくるため、「これは虚辞の ne だな」という勘がすぐに働くようになります。

もうひとつ例を挙げると、

  avant qu'il ne pleuve (雨が降る前に)

「avant que... (...する前に)」も、「...」の部分の動詞は接続法になると決まっています。これも「虚辞の ne 」が入りやすい表現のひとつです。
日本語でも、例えば夏目漱石など戦前の文学作品を読むと、「雨が降らない前に」という表現が出てきますが、これは「雨が降る前に」と同じ意味であり、「ない」という否定の言葉は、あまり意味がありません。

虚辞の ne を「ない」と訳してしまうと(否定の意味に取ると)、意味がまったく逆になってしまうので注意が必要です。

比較の que の後ろが「節」の場合にも、虚辞の ne が入りやすくなります。 ⇒ 例文

ne の単独使用(ne だけで否定を表す)

前述のように、もともと ne は英語の not に相当し、ne だけで否定を表していたため、 pas を使わないで ne だけで否定を表すというのは古い語法の名残りです。
しかし、この ne の単独使用は、特定の動詞と組み合わさると、日常会話でも頻繁に使用されます。例えば次のような動詞です。

  pouvoir (~できる)
  oser (あえて~する、~できる)
  savoir + 間接疑問 (...かわからない)
  cesser de ~ (~するのをやめる)

また、主節が否定文・疑問文の場合、関係詞節内では ne だけで否定になります。

ほかにも ne の単独使用が使われやすい表現がいくつかありますので、詳しくは辞書の ne の項目を引いて確認してください。

さて、この ne の単独使用は、前の項目で出てきた「虚辞のne」と識別することが非常に重要です。なぜなら、

  虚辞の ne は、ne を省いても意味が同じため、否定ではなく「肯定」
  ne の単独使用は ne だけで否定を表すため、「否定」

だからです。このように、pas がなくて ne だけの場合は、180 度意味が逆になりますので、十分な注意が必要です。

それでは、どのように見分けたらよいのでしょうか。
虚辞の ne の場合は、辞書で「ne」の項目を引くと、どのような場合に虚辞の ne を使うのかが例文とともに記載されており、それ以外のケースで虚辞の ne を使うことはありません。
それに対して、この「 ne だけで否定を表す場合」は、よく使うケースは辞書に記載されていますが、硬い文章では、辞書に記載されているケースだけで使用するとは限りません。やや文語調の表現をしたい場合は、ne だけで否定にすることができます。

ですから、辞書の「ne」の項目に記載されている「虚辞の ne 」のケースをよく読み、それに該当せずに ne を単独で使っている場合には、消去法で、この「 ne だけで否定」だと取ればよいでしょう。















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