カタカナ発音
発音の規則
フランス語で書かれた単語をどう読むかという視点から、おもにローマ字読みとは異なる点に絞って、初心者向けにフランス語の発音の規則を単純化してまとめてみました(網羅的なものではありません)。
以下では、カタカナ発音で表記します。滅茶苦茶な発音をするよりは、とりあえず近似のカタカナ発音でも発音できたほうがよいからです。
関連項目:「フランス語のアルファベットの読み方」
発音しない文字
英語で knife (ナイフ)の k や fight (ファイト)の gh を発音しないのと同様、フランス語でも特に単語の末尾では発音しない字があります。
1. 語末の -s, -t, -d, -lt, -ld, -x, -g, -p は発音しない
Paris パリ(フランスの首都。英語のように「パリス」とは発音しない)
grand prix グランプリ(大賞)
alphabet アルファベ(英語だと「アルファベット」と発音)
camembert カマンベール(チーズの一種。最後の音節は長めに発音する)
Renault ルノー(自動車メーカー。e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。au は「オー」と発音する)
objet オブジェ(対象物。英語の object [オブジェクト] に相当。美術関係などではフランス語流に「オブジェ」という言葉が使われる)
pierrot ピエロ(道化)
ただし、例外的に発音する単語もある(特に 1音節の単語など)。
Mars マルス(3 月)
sud スュッドゥ(南。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
Proust プルーストゥ(小説『失われた時を求めて』の作者プルースト。ou は「ウー」と強めに発音する)
Agnès アニェス(女の名前。英語だと「アグネス」。gn は「ニュ」と発音する)
(下記「例外的な発音」の項も参照」)
本当は弱く「ウ」と発音するともいえますが、特に意識しなくても自然と発音されてしまうほど弱い音なので、むしろ「発音しない」と思ったほうがよいと思われるため、「発音しない」としておきます。
Seine セーヌ(セーヌ川。ei は「エ」と発音する)
語末の -es も発音しない。
Charles シャルル(男の名前 [英語だとチャールズ]。ch は「シュ」と発音する)
Jules ジュール(男の名前。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
発音するかしないかは、単語によって決まっており、個別に覚える必要がある。
a) 語末の -c を発音しない単語
Mont blanc モンブラン(アルプスの最高峰、原義は「白い山」。語末の t も発音しない)
franc フラン(ユーロに切り替わる以前の貨幣単位)
choc ショック(衝撃)
chic シック(シックな、洒落た、上品な)
arc アルク(アーチ、弧(こ)、弓)
lac ラック(湖)
Volvic ヴォルヴィック(ボルビック。フランス中央部の街。ミネラルウォーターの産地)
Marc マルク(男の名前)
Balzac バルザック(19世紀を代表する小説家の名前)
avec アヴェック(~と一緒に。英語の with に相当する前置詞)
h 自体は、どのような場合でも発音しない。
hôtel オテル(ホテルのこと)
harmonie アルモニー(ハーモニー、調和。語末の ie は「イー」と発音する)
rhétorique レトリック(修辞。語末の que は「ク」と発音する)
hommage オマージュ(献呈、敬意。語末の age は「アージュ」と発音する)
Hollande オランドゥ(現フランス大統領の姓。語末の e は発音しない)
Hermès エルメス(高級皮革ブランド。末尾の s は例外的に発音する)
Hiroko イロコ(日本人女性の名「広子」「弘子」「浩子」等のローマ字を見て一般的なフランス人が発音するとこうなる)
Hiroshima イロシマ(広島。日本語での発音を知っているフランス人で「ヒロシマ」と発音する人もいる。なお、フランス語では sh という綴りは外来語のみに見られ、同様の音は下記 ch で表わされる)
ただし、下記「単語を続けて読む規則」との関係上、
前の単語とつなげて読む場合は「無音の h (むおんのアッシュ)」
前の単語とつなげて読まない場合は「有音の h (ゆうおんのアッシュ)」
といって区別する。
特に、th は t と同じ発音になる。英語のように舌を挟んだりしない。
marathon マラトン(長距離走マラソンのこと)
méthode メトードゥ(方法。語末の e は発音しない)
théorie テオリー(理論。語末の ie は「イー」と発音する)
catholique カトリック(キリスト教の教派。語末の que は「ク」と発音する)
cathédrale カテドラル(大聖堂。語末の e は発音しない)
ils donnent イル ドンヌ(第 1 群規則動詞 donner の現在 3 人称複数)
どの不規則動詞でも、どの時制でも、複数 3人称の語尾 -ent は絶対に発音しない。
間違えやすい母音
1. a は「ア」と発音する。英語のように「エイ」などと発音することはない。
â も a と同様に発音する。
また、i は「イ」と発音する。英語のように「アイ」などと発音することはない。
cable カーブル(ケーブル)
pâtissier パティスィエ(パティシエ・菓子職人。er は「エ」と発音する)
cidre スィードゥル(シードル、りんご酒。英語に入ると cider となって発音は「サイダー」。日本語に入ると「炭酸飲料」の意味。語末の e は発音しない)
escargot エスカルゴ(かたつむり。語末の t は発音しない)
esprit エスプリ(精神 [英語の spirit]、機知 [エスプリ]。語末の t は発音しない)
cigarette スィガレットゥ(煙草。語末の e は発音しない)
cresson クレソン(肉料理に添えられることの多い香草の一種。ss は「ス」と発音する)
proverbe プロヴェルブ(諺 [英語だと proverb プロヴァーブ]。語末の e は発音しない)
上記の語末の e と同様、本当は弱く「ウ」と発音するともいえますが、特に意識しなくても自然と発音されてしまうほど弱い音なので、むしろ「発音しない」と思ったほうがよいと思われるため、「発音しない」としておきます。
Genève ジュネーヴ(スイスの都市名。è は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
Geneviève ジュヌヴィエーヴ(女の名前。è は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
mademoiselle マドゥモワゼル(お嬢さん [未婚の女性への敬称]。oi は「オワ」と発音する。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。s の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の e は発音しない)
sommelier ソムリエ(レストランでのワイン係。er は「エ」と発音する)
pâtisserie パティスリ(ケーキ屋・菓子屋。語末の e は発音しない)
ballet バレー( [踊りの] バレエ。語末の t は発音しない)
bouquet ブーケ(花束。ou は「ウー」と強めに発音する)
Monet モネ(印象派の画家。語末の t は発音しない)
Michel ミシェル(男の名前。ch は「シュ」と発音する。「ミッシェル」と表記されることもあるのはおそらく英語の「ミッチェル」の影響で、「ッ」は不要)
3. é は「エ」と短く発音し、ê と è は長めに「エー」と発音することが多い。
liberté リベルテ(自由。b の後ろの e は後ろに子音字が 2つあるので発音する)
déformé デフォルメ(変形した、ゆがんだ)
métro メトロ(地下鉄)
André アンドレ(男の名前)
mètre メートル(長さの単位。語末の e は発音しない)
lumière リュミエール(光。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
crêpe クレープ(小麦粉やそば粉でできた丸くて薄い生地のパンケーキ)
être エートル(「~である」 [英語の be 動詞]。語末の e は発音しない)
Air France エール フランス(航空会社 [air は「空気、空」の意味] )
maison メゾン(家。s は母音に挟まれると「ズ」と発音する)
saison セゾン(季節)
essai エッセ(エッセー=随筆、試み。e の後ろに子音字が 2つあるので e は発音する。ss は「ス」と発音する)
Lorraine ロレーヌ(フランス北東部の地方名。語末の e は発音しない)
La Fontaine ラ・フォンテーヌ(『寓話』の作者。語末の e は発音しない)
Eiffel エッフェル(エッフェル塔)
beige ベージュ(色の名、薄い茶色。語末の e は発音しない)
madeleine マドゥレーヌ(マドレーヌ、焼き菓子。d の後ろの e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の e は発音しない)
単語の末尾の -er は、
a) 第 1 群規則動詞および多くの名詞・形容詞では「エ」と発音する ( r は読まない)。
donner ドネ(与える)
aimer エメ(愛する。ai は「エ」と発音する)
b) 一部の名詞・形容詞では「エール」と発音する。
mer メール(海)
fier フィエール(誇りにしている)
comédie コメディー(喜劇)
mélodie メロディー(旋律)
économie エコノミー(経済)
cérémonie セレモニー(儀式)
Normandie ノルマンディー(フランス北西部の地方名)
mélancolie メランコリー(憂鬱)
Marie マリー(女の名前、[聖母] マリア)
7. ou は「ウ」または「ウー」と強めに発音する。(発音記号 [u])
日本語の「ウ」よりもはっきり強く(両唇を突き出して)発音する。
oui ウイ(はい [英語の yes] )
Louis ルイ(男の名前。特に「ルイ14世」などの王の名前。語末の s は発音しない)
concours コンクール(競技会。語末の s は発音しない)
groupe グループ(集団。英語に入ると最後の e が取れるが、発音はほぼ同じ。語末の e は発音しない)
Louvre ルーヴル(ルーブル美術館。語末の e は発音しない)
Pompidou ポンピドゥー(1970年代前半頃のフランス大統領)
Larousse ラルース(有名な辞書・出版社の名前。語末の e は発音しない)
coup d'État クーデタ(クーデター。原義:「国家(へ)の一撃」。語末の p, t は発音しない)
Tour de France トゥール ドゥ フランス(自転車競技ツール・ド・フランス、もとは「フランス一周」の意味。語末の e は発音しない)
soupe スープ(語末の e は発音しない)
journal ジュルナル(定期刊行物 [英語に入ると同じ綴りで「ジャーナル」] )
8. u は口をすぼめて鋭く「ユ」と発音する。(発音記号 [y])
unique ユニーク(ユニークな、唯一の。語末の que は「ク」と発音する)
union ユニオン(連帯、連合)
cuisine キュイズィンヌ(料理。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。語末の ne は「ンヌ」と発音する)
début デビュ(初め。歌手などの「デビュー」。語末の t は発音しない)
buffet ビュフェ(ビュッフェ、立食パーティー、料理を並べる棚。e は最後の音節では後ろに子音字が 1つしかなくても発音する。語末の t は発音しない)
Buffon ビュフォン(18世紀の科学者で『博物誌』の著者)
Camus カミュ(フランス人の姓 [小説家アルベール・カミュやコニャックのブランド名]。語末の s は発音しない)
Le Corbusier ル コルビュズィエ(ル・コルビュジエ、建築家。語末の e は発音しない。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。語末の -er は「エ」と発音する)
illusion イリュズィヨン(幻覚、幻想、イリュージョン。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する)
illumination イリュミナスィヨン(照明、イルミネーション。tion で終わる単語は「スィヨン」と発音する)
résumé レズュメ(レジュメ、要約。s は母音に挟まれると「ズ」と発音する)
république レピュブリック(共和国 [英語に入ると republic リパブリック]。語末の que は「ク」と発音する)
déjà-vu デジャヴュ(既視感。原義:「既に見た」。vu は voir(見る)の過去分詞。日本語では「デジャブ」ということもある)
fondu フォンデュ(溶けた。チーズを溶かした料理などで使われる)
ennui アンニュイ(倦怠。en は鼻母音)
costume コステューム(コスチューム、服装。tu は「チュ」と発音しても「テュ」と発音してもよい。語末の e は発音しない。最後の音節は長めに発音する)
manufacture マニュファクテュール(スイスで伝統的な方法で時計を製造する工房のことで、日本でも時計業界では「マニュファクチュール」と呼ぶ。tu は「チュ」と発音しても「テュ」と発音してもよい。語末の e は発音しない。最後の音節は長めに発音する)
judo ジュドー(柔道のこと)
café au lait カフェ・オ・レ(ミルク入りコーヒー。ai は「エ」と発音する。語末の t は発音しない)
restaurant レストラン(飲食店。e の後ろに子音字が 2つあるので e は発音する。語末の t は発音しない)
Bordeaux ボルドー(都市名、ワインの産地。語末の x は発音しない)
nouveau ヌーヴォー(新しい。ou は「ウー」と強めに発音する)
Mirabeau ミラボー(フランス革命の英雄。パリの橋の名になっている)
chapeau シャポー(帽子。ch は「シュ」と発音する)
tableau タブロー(絵・絵画、一覧表)
manteau マント(袖なしの外套、英語では cape ケープ)
Lascaux ラスコー(壁画で有名なフランス南西部の洞窟。語末の x は発音しない)
beaucoup ボークー(とても [英語の very]。ou は「ウー」と強めに発音する。語末の p は発音しない)
Pyramide ピラミッドゥ(ピラミッド。語末の e は発音しない)
Pyrénées ピレネ(スペインとの国境付近、ピレネー山脈がある。語末の es は発音しない)
Égypte エジプトゥ(エジプト。語末の e は発音しない)
Sylvie スィルヴィー(シルヴィ。女性の名前。語末の ie は「イー」と発音する)
lycée リセ(フランスの高校のこと)
mystère ミステール(神秘。è は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
cycle スィークル(周期 [英語だと同じ綴りで「サイクル」]。語末の e は発音しない)
y イ(そこに。英語の there に相当する副詞または中性代名詞)
なお、上記の u の発音を示す発音記号 [y] とは関係ないので、混同しないよう注意が必要。
Lyon リヨン(フランス東南部の都市名)
lion リヨン(ライオン、獅子)
この 2 つは同じ発音です。「リオン」と表記すべきか、迷うところです。
たとえば日本語の表記で「イタリヤ」ではなく「イタリア」という表記が主流なのに、「ダイヤモンド」に関しては「ダイアモンド」よりも使われるというように「ぶれ」があるのは、もともとア行かヤ行か微妙なところだからです。
kiosque キオスク(またはキヨスク。駅などの売店。語末の que は「ク」と発音する。英語に入ると綴りが変わって kiosk)
フランス語で発音する場合は、あまり意識してヤ行にせず、ア行で言ったつもりなのに自然とヤ行の音が混じるくらいが丁度よいと思います。
espoir エスポワール(希望。e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する)
croissant クロワッサン(三日月形のパン。ss は「ス」と発音する。語末の t は発音しない)
foie gras フォワ・グラ(高級食材。逐語訳は「太った肝臓」。語末の e は発音しない。語末の s は発音しない)
Loire ロワール(ロワール川。フランス中部から西に流れる大きな川。語末の e は発音しない)
Renoir ルノワール(印象派の画家の名前。w の音が入るので、「ルノアール」というよりも、むしろ「ルノワール」。 e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない)
Antoine アントワーヌ(男の名前。語末の ne は「ヌ」と発音する)
Marie Antoinette マリー・アントワネットゥ(フランス革命で処刑されたルイ 16世の王妃。語末の ie は「イー」と発音する。 tt の前の e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の e は発音しない)
ただし、「トレマ」がついて oï となっていれば、o と ï の間で切り離して発音する。
égoïsme エゴイスム(自己中心主義。「égo-isme エゴ・イスム」のような発音になる。語末の e は発音しない)
coïncidence コアンスィダンス(一致。「co-incidence コ・アンスィダンス」のような発音になる。in は「アン」と発音する。語末の e は発音しない。[英語だと coincidence コインシデンス])
13. oy は「オワイュ」と発音する。
royal ロワイヤル(王の [英語に入ると同じ綴りで「ロイヤル」] )
voyage ヴォワイヤージュ(旅行。最後の音節は長めに発音する。語末の e は発音しない)
14. -ille は「イーユ」と発音する。ただし「イル」と発音するものもある。
famille ファミーユ(家族)
Bastille バスティーユ(フランス革命で襲撃された牢獄)
ville ヴィル(町、都市)
Guillotine ギヨティンヌ(ギロチン [断頭台] のこと。gui は「ギ」と発音する。語末の ne は「ンヌ」と発音する)
Guillaume ギヨーム(男の名前。gui は「ギ」と発音する。au は「オー」と発音する。語末の e は発音しない)
papillon パピヨン(蝶)
bouillon ブイヨン(肉や野菜を煮込んで抽出する、スープのもと。ou は「ウ」と強めに発音する)
bouillabaisse ブイヤベース(南仏の魚介の煮込み料理。ai は「エ」と発音する。ss は「ス」と発音する。語末の e は発音しない)
15. -ail, -aille は「アイユ」と発音する。
travail トゥラヴァイユ(仕事。日本語では「トラバーユ」ということもある)
Versailles ヴェルサイユ(パリ近郊の地名。宮殿で有名。V の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の s は発音しない)
16. -eil, -eill- は「エイユ」と発音する。
soleil ソレイユ(太陽)
Marseille マルセイユ(南仏の都市名。語末の e は発音しない)
La Marseillaise ラ・マルセイエーズ(フランス国歌。ai は「エ」と発音する。s は母音に挟まれると「ズ」と発音する。語末の e は発音しない)
フランス語特有の鼻母音など
これは一番カタカナ表記しにくいところです。
1. an, am, en, em は「ア」の口の形のまま「オン」と発音する。
「ア」と言う時のような口を大きく開いた状態で「オン」と言います。
「アン」より、むしろ「オン」に近く聞こえるかと思います。
人によっては「アン」ではなく「オン」と表記しますが、そうすると France も「フランス」ではなく「フロンス」と表記することになります。
本ホームページでは一貫して「アン」とカタカナ表記します。たとえ「オン」に近いとしても、多くのカタカナ発音つきの仏和辞典で「アン」と表記されている以上、「オン」と表記すると混乱のもとになるからです。
encore アンコール(「まだ」。日本語だと演奏会などでの「アンコール」。最後の音節は長めに発音する。語末の e は発音しない)
aventure アヴァンチュール(冒険。最後の音節は長めに発音する。語末の e は発音しない)
genre ジャンル(種類・部類。語末の e は発音しない)
appartement アパルトゥマン(ビル内の1フロア分の住居。語末の t は発音しない)
enfant アンファン(子供。語末の t は発音しない)
Henri アンリ(男の名前 [英語では Henry ヘンリー]。H は発音しない)
pensée パンセ(思考。植物の「パンジー」という意味もある [パンジーは英語読み]。語末の e は発音しない。この複数形 Pensées [発音同じ] は哲学者パスカルの主著の題名で『パンセ』または『随想録』などと訳される)
adhérence アデランス(粘着、くっつくこと [日本のかつらメーカーがブランド名に採用した]。h は発音しない。語末の e は発音しない)
ちなみに、以上を「オン」と表記する場合、順に「オンコール」、「アヴォンチュール」、「ジョンル」、「アパルトゥモン」、「オンフォン」、「オンリ」、「ポンセ」、「アデロンス」となります。
2. in, im, un, um, ein, ain は「エ」の口の形のまま「アン」と発音する。
Chopin ショパン(作曲家。ch は「シュ」と発音する)
Martin マルタン(男の名前)
dessin デッサン(デッサン=素描。e の後ろに子音字が 2 つある場合は e は発音する)
gratin グラタン(オーブンで表面を焦がす料理)
Moulin-Rouge ムーランルージュ(パリのモンマルトルにあるキャバレー。逐語訳では「赤い風車」。ou は「ウー」と強めに発音する。語末の e は発音しない)
infini アンフィニ(無限の)
information アンフォルマスィヨン(情報 [英語だと同じ綴りで「インフォメーション」]。tion で終わる単語は「スィヨン」と発音する)
introduction アントロデュクスィヨン(導入・入門 [英語だと同じ綴りで「イントロダクション」]。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。tion で終わる単語は「スィヨン」と発音する)
pain パン
parfum パルファン(香水)
以上の 1. と 2. は、どちらもカタカナだと「アン」と表記することになりますが、実際は別の音なので、意識して区別する必要があります。
3. on, om はあまり口を開けずに少し鼻に抜ける感じで「オン」と発音する。
Domrémy ドンレミ(ジャンヌ・ダルクの故郷の村の名。昔は「ドムレミ」と訳されたが、間違い。y は i と同様に「イ」と発音する。)
以上の 3 つが鼻母音です。
4. eu, œ, œu は、文字通り「エ」と「ウ」と「オ」の中間のような音を出す。
いずれも、次の 2 通りの発音になる。
次の 2 つの区別については、辞書を引いて発音記号を確認する必要があります。
どちらも独特な発音でカタカナにしにくいので、以下では例外的に発音記号を使用します。注意して意識的に区別してください。
なお、œ は o と e がくっついた文字です。
4-a. 発音記号 [φ]
発音記号が正しく表示できないのですが、正しくは、小さな丸を(右上から左下への)斜めの線で串刺しにしたような記号です。もとはギリシア文字で、「直径」を意味する記号としても使われます。
フランス語の発音記号としては、あまり口を開けないで、脱力したような感じて「ウ」に近く発音します。どちらかというと暗い音です。
フランス人が適切な言葉を探したり言いよどんだりする場合には、この音を出します(日本語の「えーと...」に相当)。
Europe ウーロップ(ヨーロッパ。語末の e は発音しない)
4-b. 発音記号 [œ]
「オ」よりも意識的に少し大きめに口を開けて「エ」と発音する感じですが、結果として「ウ」に近く聞こえると思います。
どちらかというと、明るい音です。
Pont Neuf ポン ナフ(パリ中心部に架かる橋の名で、Pont は「橋」、Neuf は「新しい」という意味なので、訳すと「新橋」。「ポンヌフ」と表記されることが多いが、実際は「ヌフ」と「ナフ」の中間くらいの発音。語末の t は発音しない)
œuvre ウーヴル(作品、仕事。語末の e は発音しない)
間違えやすい子音
rose ローズ(薔薇。語末の e は発音しない)
pose ポーズ(休止、ポーズ。語末の e は発音しない)
prison プリゾン(牢獄)
poésie ポエズィー(詩・詩情、ポエジー。語末の ie は「イー」と発音する)
raison d'être レゾンデートル(存在理由。 raison は「理由」。ai は「エ」と発音する。 d' は de と同じで「の」。 être はここでは名詞で「存在」。ê は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
Hisako イザコ(日本人女性の名「久子」のローマ字を見て一般的なフランス人が発音するとこうなる。H は発音しない)
b) 前後どちらかにしか母音字がない場合は、s は濁らず「ス」と発音する。
Pascal パスカル(17世紀の思想家。気圧の単位「ヘクトパスカル」の語源)
résistance レズィスタンス(抵抗。とくに第二次世界大戦中にフランスを占領したドイツに対する「レジスタンス」運動。1 つめの s は母音字に挟まれているため濁って発音する。語末の e は発音しない)
例外
Alsace アルザス(フランス東部の地方名。この地名はドイツ語に由来し、ドイツ語では s の後ろが母音字であれば s は濁るため)
語頭の s は、すべて濁らない(後ろにしか母音字が来えないので)。
sablé サブレ(サブレー。もとは「砂で覆われた」という意味で、砂糖などをまぶした焼き菓子のこと)
Sophie ソフィー(女の名前。ph は「フ」と発音する。語末の ie は「イー」と発音する)
passion パスィヨン(情熱)
Renaissance ルネッサンス(もともと「再生」という意味(naître の活用を参照)で、フランスでは 16世紀を指す。 R の後ろの e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。ai は「エ」と発音する。語末の e は発音しない)
cassis カスィス(カシス。黒すぐり、または黒すぐりの実から作ったリキュール。末尾の s は例外的に発音する)
2. x は、
a) 原則として濁らずに「クス」と発音する。
Méxique メクスィック(メキシコ。語末の que は「ク」と発音する)
Alexandre アレクサンドゥル(アレクサンドル。男の名前 [英語だとアレキサンダー]。語末の e は発音しない)
Luxembourg リュクサンブール(国名。ドイツ語読みだとルクセンブルク。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。ou は「ウー」と強めに発音する。語末の g は発音しない)
complexe コンプレックス(形容詞で「複合の」、名詞で「[心理的な] コンプレックス」。x は ks と発音し、後ろに子音字が 2 つあるのと同じことになるので x の前の e は発音する。語末の e は発音しない)
Excusez-moi. エクスキュゼ モワ(すみません [英語 Excuse me]。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。oi は「オワ」と発音する。ハイフンは無視して読む)
b) ex で始まる単語は、後ろに母音字がくれば濁って「エグズ」と発音し、子音字がくれば濁らずに「エクス」と発音する。
exemple エグザンプル(例。語末の e は発音しない)
existance エグズィスタンス(存在。語末の e は発音しない)
exercice エグゼルシス(練習。x の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の e は発音しない [英語に入ると exercise エクササイズ] )
explication エクスプリカスィヨン(説明。tion で終わる単語は「スィヨン」と発音する)
extrême エクストレーム(極端な。ê は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
c) 例外
Bruxelles ブリュッセル(ベルギーの首都。「ブリュクセル」ではない。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。x の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の es は発音しない)
3. c は、
a) 後ろに母音 i, e が来るとサ行で読む。
cinéma スィネマ(シネマ、映画)
citron スィトロン(シトロン、レモンのこと)
police ポリス(警察。語末の e は発音しない)
Nice ニース(南仏の地中海沿いの保養地)
Cézanne セザンヌ(印象派の画家。nne は「ンヌ」と発音する)
fiancé フィアンセ(婚約者)
marron glacé マロン・グラセ(菓子のマロン・グラッセ。原義は「凍った栗」)
b) 母音 a, u, o の前ではカ行で読む。
vacance ヴァカンス(長期休暇。最後の e の前の c は前項によりサ行で読む。語末の e は発音しない)
caméra カメラ
ただし ca は「キャ」と発音すこともある(下記)。
c) 母音 a, u, o の前でもサ行で読ませたい場合は ç と表記する(「文法用語」の「セディーユ」の項目を参照)。
français フランセ(フランスの。ai は「エ」と発音する。語末の s は発音しない。セディーユがないと「フランケ」になってしまう)
François フランソワ(男の名前。oi は「オワ」と発音する。語末の s は発音しない。セディーユがないと「フランコワ」になってしまう)
Françoise フランソワーズ(女の名前。oi は「オワ」と発音する。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。セディーユがないと「フランコワーズ」になってしまう)
La Brabançonne ラ・ブラバンソンヌ(ベルギー国歌の別名。語末の ne は「ンヌ」と発音する。セディーユがないと「ラ・ブラバンコンヌ」になってしまう)
façade ファサード(建築物の正面のこと。語末の e は発音しない。最後の音節は長めに発音する。セディーユがないと「ファカード」になってしまう)
comme ça コム サ(「このように」という意味で会話でよく使う。英語の like this に相当。語末の e は発音しない。セディーユがないと「コム カ」になってしまう)
a) a, u, o の前ではガ行で読む
gourmet グルメ(食通。ou は「ウ」と強めに発音する。e は最後の音節では後ろに子音字が 1つしかなくても発音する。語末の t は発音しない)
de Gaulle ドゥ・ゴール(ド・ゴール大統領、空港名。au は「オー」と発音する。語末の e は発音しない)
ambigu アンビギュ(曖昧な。am は鼻母音。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
monologue モノローグ(独白、ひとり言)
Vogue ヴォーグ(流行。ファッション雑誌の名前)
nouvelle vague ヌーヴェル ヴァーグ(直訳すると「新しい波」。1950年代末以降の映画の潮流。ou は「ウー」と強めに発音する。v の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の e は発音しない。)
Guillaume ギヨーム(男の名前。ill の後ろに母音がくる場合は「イ」+ヤ行で発音する。au は「オー」と発音する。語末の e は発音しない)
b) i, e の前では「ジ、ジュ、ジェ」と発音する
Limoges リモージュ(磁器の産地として知られるフランス中西部の都市名。語末の e は発音しない)
Saint-Germain サンジェルマン(地名。語末の t は発音しない。ain は「アン」と発音する。e の後ろに子音字が 2つあるので e は発音する)
bourgeois ブルジョワ(比較的裕福な中流階級の人。ou は「ウ」と強めに発音する。oi は「オワ」と発音する。語末の s は発音しない。もし g の後ろに e がなかったら「ブルゴワ」と発音することになる)
rouge ルージュ(赤い、口紅。ou は「ウー」と強めに発音する。語末の e は発音しない)
magique マジック(魔法の。語末の que は「ク」と発音する)
énergie エネルジー(エネルギー。 n の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の ie は「イー」と発音する)
argent アルジャン(お金、銀。en は鼻母音。語末の t は発音しない)
manger マンジェ(食べる。er は「エ」と発音する)
Belgique ベルジック(ベルギー王国のこと。B の後ろの e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。語末の que は「ク」と発音する)
mariage マリアージュ(結婚。最後の音節は長めに発音する)
potage ポタージュ(スープの一種。最後の音節は長めに発音する)
image イマージュ(イメージ、像)
montage モンタージュ(モンタージュ写真、合成写真)
camouflage カムフラージュ([迷彩色による]偽装・隠蔽。ou は「ウ」と強めに発音する)
sabotage サボタージュ(労働者による工場の破壊行為・仕事放棄。日本語の「サボる」の語源)
5. j は「ジャ、ジュ、ジェ、ジョ」で発音する。
前項 4. の b) と同じ発音。
なお、英語の j は「破裂音」で、発音記号に [d] が入りますが、フランス語の j の場合は発音記号に [d] が入らず、かなり「シャ、シュ、シェ、ショ」に近い「ジャ、ジュ、ジェ、ジョ」になります。いわば「湿った」音なのが特徴です。
Japon ジャポン(日本)
Joseph ジョゼフ(男の名前。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する)
Jésus ジェズュ(イエス [キリスト] のこと。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。語末の s は発音しない)
Jean ジャン(男の名前)
a) それぞれ「カ」「ガ」だが、
b) 特にパリでは「キャ」「ギャ」と発音することが多い。
café カフェ / キャフェ(コーヒー、喫茶店)
garçon ガルソン / ギャルソン(少年、ウェイター)
avant-garde アヴァン ガルドゥ / アヴァン ギャルドゥ(アバンギャルド、前衛。語末の t は発音しない。語末の e は発音しない)
chocolat ショコラ(チョコレートのこと。語末の t は発音しない)
chou à la crème シューアラクレーム(シュークリームのこと。直訳すると「クリーム入りキャベツ」。これを作った菓子職人がキャベツに見立てて名づけたらしい(昔はキャベツは品種改良されておらず今よりも小さかった)。ou は「ウ」と強めに発音する。è は長めに「エー」と発音する。語末の e は発音しない)
chanson シャンソン(歌)
chef シェフ(料理長、[一般に組織の] トップ)
chance シャンス(運・幸運 [英語に入ると同じ綴りで「チャンス」]。語末の e は発音しない)
Chanel シャネル(女性向けファッションブランド)
Michelin ミシュラン(料理ガイドブックを発行しているタイヤメーカー。e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。in は「アン」と発音する)
Richard リシャール(男の名前、英語だとリチャード。語末の d は発音しない)
marché マルシェ(市場 [英語の market マーケット] )
parachute パラシュートゥ(落下傘。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。語末の e は発音しない)
ただし、一部のギリシア語・ドイツ語系の単語で ch を k と発音するものもある。
christianisme クリスティアニスム(キリスト教。語末の e は発音しない)
chronographe クロノグラフ(ストップウォッチ機能のついた時計のことで、chrono は「時」、graphe は「記述」を意味するギリシア語系の言葉。フランス語圏スイスで時計の製造が盛んなためフランス語の発音で世界的に定着している。ph は「フ」と発音する。語末の e は発音しない)
écho エコー(こだま、反響)
psychologie プスィコロジー(心理学。s は前後どちらかにしか母音がない場合は「ス」と発音する。y は i と同様に「イ」と発音する。g は母音 i の前では「ジ」と発音する。語末の ie は「イー」と発音する)
Bach バック(ドイツのバロック音楽の作曲家バッハのこと)
「チュ」と発音しても「テュ」と発音してもよい(その中間ぐらいを意識して発音すると理想的)。個人差がある。
tu チュ / テュ(人称代名詞で「君」)
9. ti は
大きく分けて「ティ」と「スィ」の2通りの発音がある。
a) 「ティ」と発音する場合
「ティ」は「チ」に近く発音される場合もある。個人差がある。
petit プティ / プチ(小さな。e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の t は発音しない)
b) 「スィ」と発音する場合
égyptien エジプスィヤン(エジプトの。y は i と同様に「イ」と発音する。en は in, im などと同じ鼻母音。現在は「ロマ」と呼ばれることの多い「ジプシー」と同語源 [エジプトから来たと思われていたため] )
nation ナスィヨン(国家、国民)
action アクスィヨン(行動)
révolution レヴォリュスィヨン(革命。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
communication コミュニカスィヨン(コミュニケーション。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
imagination イマジナスィヨン(想像。g は母音 i の前では「ジ」と発音する)
définition デフィニスィヨン(定義)
dictionnaire ディクスィオネール(辞書。ai は「エ」と発音する。語末の e は発音しない)
ただし、「イタリア/イタリヤ」、「ダイアモンド/ダイヤモンド」の区別と同様、「スィヨン」と「スィオン」のどちらで表記すべきか迷うところです。
philosophie フィロゾフィー(哲学。s は母音に挟まれると「ズ」と発音する。語末の ie は「イー」と発音する)
champagne シャンパーニュ(シャンパン [発泡ワインの一種]。ch は「シュ」と発音する。語末の e は発音しない)
Bourgogne ブルゴーニュ(フランス中東部。ワインの産地。ou は「ウ」と強めに発音する。語末の e は発音しない)
Bretagne ブルターニュ(フランスの北西の隅にある地方名。t の前の e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の e は発音しない)
Espagne エスパーニュ(スペインのこと。語末の e は発音しない)
Allemagne アルマーニュ(ドイツのこと。m の前の e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の e は発音しない)
Montaigne モンテーニュ(16 世紀の思想家。ai は「エ」と発音する。最後の音節は長めに発音する。語末の e は発音しない)
signe スィーニュ(記号・しるし・兆候 [英語に入ると sign サイン]。語末の e は発音しない)
Avignon アヴィニョン(南仏の地名)
Cro-Magnon クロマニョン(原始人の一種クロマニョン人が発見された洞窟)
Dom Pérignon ドン・ペリニョン(シャンパンで有名。om と on は上記鼻母音 3. の同じ発音)
cognac コニャック(ブランデー。この単語の場合は語末の c を発音する)
12. r は、
a) パリを含むフランス北部では、うがいをする時や痰(たん)を吐く時のように喉の奥を破裂させて発音する。慣れてきたら、喉の奥を軽くかすれさせるだけでよい。「ル」というよりも、むしろ「ハ」「フ」「ヘ」のようにも聞こえる(ただし本サイトでは一貫して「ル」で表記)。
b) フランス南部では日本語と同じように「ル」と発音する。
merci メルスィ(ありがとう。e の後ろに子音字が 2つあるので e は発音する)
bonjour ボンジュール(こんにちは。ou は「ウー」と強めに発音する)
bonsoir ボンソワール(こんばんは。oi は「オワ」と発音する)
parfait パルフェ(「完璧な」という意味の形容詞 [英語に入ると perfect]。そこから(色々乗っていて「完璧」なので)デザートの「パフェ」も指す。r はかすれて日本人にはほとんど聞き取れないこともあるため、「ル」が落ちて「パフェ」として日本語に定着したのではないかと想像される。ai は「エ」と発音する。語末の t は発音しない)
reportage ルポルタージュ(報道。2つめの r は日本人にはやや聞き取りにくいため、日本語では「ルポタージュ」とも表記される。p の前の e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の age は「アージュ」と発音する)
amour アムール(愛。ou は「ウー」と強めに発音する)
13. qu は k または c と同じように発音する。語末の que は「ク」と発音する。
qualité カリテ(品質 [英語に入ると quality クオリティー] )
Québec ケベック(カナダの州。e は最後の音節では後ろに子音字が 1つしかなくても発音する。この単語の場合は語末の c を発音する)
esquisse エスキス(素描・下描き。語末の e は発音しない)
étiquette エティケットゥ(エチケット。「礼儀作法・マナー」または「ラベル」の意味。e の後ろに子音字が 2つある場合は e は発音する。語末の e は発音しない)
casquette カスケットゥ(カスケット、キャスケット [つば付きの布製の帽子]。発音の規則は同上)
roquefort ロックフォール(代表的な青かびチーズ。e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。語末の t は発音しない)
époque エポック(時代)
pique-nique ピクニック(遠足。英語に入ると picnic)
musique ミューズィック(音楽。u は口をすぼめて「ユ」と発音する)
disque ディスク(円盤、レコード、[コンピュータの] ディスク)
masque マスク(仮面)
obélisque オベリスク(塔のように長く尖った四角い断面の記念碑)
baroque バロック([美術・音楽の] バロックの)
classique クラスィック(クラシックな、古典的・伝統的な)
語末の cque も「ク」と発音する。
Jacques ジャック(男の名前。語末の s は発音しない)
14. -ne, -nne は「ン」ではなく「ヌ」または「ンヌ」と発音する。
Cannes カンヌ(映画祭で有名な南仏の街。語末の s は発音しない)
Sorbonne ソルボンヌ(パリのソルボンヌ大学)
Marianne マリアンヌ(女の名前)
Jeanne d'Arc ジャンヌ・ダルク(百年戦争でフランスを勝利に導いた女性。jean は「ジャン」と発音する)
téléphone テレフォンヌ(電話。ph は「フ」と発音する。語末の e は発音しない)
15. b は普通は「ブ」だが、s, t の前では「プ」と発音する(p の音になる)。
absent アプサン(不在の、欠席した [英語では同じ綴りで「アブセント」]。en は鼻母音。語末の t は発音しない)
observer オプセルヴェ(観察する [英語に入ると observe オブザーヴ]。s の次の e は後ろに子音字が 2 つあるので発音する。er は「エ」と発音する)
obtenir オプトゥニール(獲得する [英語に入ると obtain オブテイン]。e は後ろに子音字が 1つしかないので発音しない。)
16. 同じ子音が 2 つ続いても、基本的には 1 つの場合と発音は変わらない。
Marronnier マロニエ(er は「エ」と発音する。西洋栃の木 [栗に似た大木] )
Apollinaire アポリネール(ダダイスムの詩人。ai は「エ」と発音する。最後の音節は長めに発音する。語末の e は発音しない)
laisser faire レセ フェール(経済学では「自由放任主義」を意味する用語として日本では「レッセフェール」で定着しているが、本来は「ッ」は不要。もともとfaireは「する」、laisserは放任の使役動詞で「~させておく」の意味。ai は「エ」と発音する。er は「エ」と発音する。語末の e は発音しない)
単語を続けて読む規則
大原則として、発音するときはアポストロフ( ' )やハイフン( - )は無視し、一語の単語であるかのようにしてつなげて読む。
Côte d'Azur コートゥダズュール(コート・ダジュール [南仏の地中海沿岸の保養地。逐語訳すると「紺碧(こんぺき)海岸」] のこと。語末の e は発音しない。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。)
Côte d'Ivoire コートゥディヴォワール(コートジボワール [アフリカの国名。逐語訳すると「象牙海岸」] のこと。oi は「オワ」と発音する。語末の e は発音しない)
prêt-à-porter プレタポルテ(既製服。逐語訳すると「身につける準備ができた」。er は「エ」と発音する)
2. エリジヨン
エリジヨンとは、次の単語が母音で始まる場合、e は省き、代りにアポストロフをつけて、続けて読むという規則のこと。アポストロフは無視し、2 語続けて読む。
i がアポストロフになるのは、si の後ろの時だけです。
(que il ク イル →) qu'il キル (英語の that he に相当)
(je ai ジュ エ →) j'ai ジェ (英語の I have に相当)
(si il スィ イル →) s'il スィル(英語の if he に相当)
リエゾンとは、本来なら発音しない語末の s, x, t, d は、次の単語が母音で始まる場合、s, x なら濁って「ズ」、 t, d なら濁らず「トゥ」と発音しつつ、次の単語とつなげて読むという規則のこと。
vous êtes (ヴー エットゥ →) ヴーゼットゥ (英語の you are に相当)
quand il (カン イル →) カンティル (英語の when he に相当)
Champs-Élysées シャンゼリゼ(パリ中心部の大通り。別々に発音するとシャン・エリゼ。Champs に関しては、ch は「シュ」と発音する。語末の p は発音しない。語末の s は発音しない。そのため、Champs 一語だけでは「シャン」と発音するが、ここでは「リエゾン」によって語末の s を「ズ」の音で濁って発音する。Élysées に関しては、y は i と同様に「イ」と発音する。s は前後に母音字があると「ズ」と濁って発音する。語末の e は発音しない。語末の s は発音しない)
4. アンシェンヌマン
アンシェンヌマンとは、もともと発音される語末の子音を、次の単語が母音で始まる場合に、その母音とつなげて、なめらかに読むという規則のこと。
il est (イル エ →) イレ (英語の he is に相当)
il y a (イル イ ア →) イリヤ (英語の there is に相当)
arc-en-ciel (アルク アン スュエル →) アルカンスュエル
- ( arc は「アーチ」、 en は前置詞で「~における」、 ciel は「空」という意味なので、もとは「空におけるアーチ」。ただし、ハイフンで結んで一語になり、全体で「虹」という意味)
強弱、高低、長短
1. 強・弱
フランス語では基本的には強弱アクセントは存在せず、すべてなめらかに同じ強さで発音します。
ただし、会話などで、ことさら強調したいときは強く発音します。
ラジオの DJ や演説でも、盛り上げるために、やたらと強調する場合があります。
2. 高・低
フランス語の文を読むときは、意味の区切れ目まで続けて(いわば棒読み調子で)読み、意味の切れ目の手前でイントネーションを上げ(上げ調子で言い)、文が終わらない限り、区切れめでは常に上げ調子にして、ピリオドで下げます。
このように、高低は、文の中で現れるのであって、単語の中に存在するわけではありません。
つまり単語によってアクセントの位置が決まっているわけではなく、同じ単語でも、文のどの位置にくるかで、上げたり上げなかったりします。
単語の最後の音節は、少し長めに発音することが多い。
finir フィニール(終わる、終える。第 2 群規則動詞の最後は伸ばす)
Léonard レオナール(男の名前。語末の d は発音しない)
école エコール(学校。語末の e はほとんど発音しないので「最後の音節」とは見なさない)
impossible アンポッスィーブル(不可能な。ss は「ス」と発音する。語末の e はほとんど発音しないので「最後の音節」とは見なさない)
obstacle オプスタークル(障害。b は s の前では「プ」と発音する。語末の e はほとんど発音しないので「最後の音節」とは見なさない)
同じ単語でも、文中の位置などによって短く発音される場合と、少し伸ばして発音される場合があります。
フランス文学の有名な作家名も、人によって伸ばしたり伸ばさなかったりします。
André Gide アンドレ・ジッド / ジード(小説家の名前)
たとえば毎年 11 月第 3 木曜に解禁になるボジョレ・ワインは、日本では「ボジョレ」、「ボージョレ」、「ボジョレー」など、色々に表記されます。
beaujolais ボジョレ(eau は「オ」と発音する。ai は「エ」と発音する)
個人的には「ボージョレ」は避けるべきで、「ボジョレ」(または「ボジョレー」)がいいと思いますが、マスコミでも表記が混乱しているのは、もともと伸ばすか伸ばさないかが微妙なところだからです。
音節の区切れ目の変化に伴う注意
1. 女性形で
たとえば、不定冠詞 un アン は、女性形になると une ユヌ と発音します。
これは、語末に -e が加わることによって、音節が 1 つから 2 つ(u と ne)に増えるからです。
このように、女性形の -e が加わることによって音節の区切れ目が変化し、発音が大きく変わることがあります。
たとえば、
- français フランセ
(形容詞で「フランス(語、人)の」。語末の s は発音しない)
→ française フランセーズ
( e が加わることで s が母音に挟まれるので濁って「ズ」と発音する)- commun コマン
(形容詞「共通の」。un は鼻母音で アン と発音する)
→ commune コミューヌ
(音節が mu ミュ と ne ヌ に分かれ、別々に発音するようになる。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。語末の e は発音しない)
2. 接頭語がついた場合
母音で始まる単語の前に接頭語がついてできた言葉の場合、音節の区切れ目の変化によって、もとの単語とは大きく発音が変わることがあります。
たとえば、
- utile ユティル
(形容詞で「役立つ、有益な」。u は口をすぼめて「ユ」と発音する。語末の e は発音しない)
+
in アン
(接頭語で否定を表す。in は「エ」の口の形のまま「アン」と発音する)
→ inutile イニュティル(アンユティルではない)
(役に立たない、無益な。音節が i, nu, ti, le となるため)
例外的な発音
ラテン語がそのままの形でフランス語に入った単語の場合は、次の 1. と 2. の特殊な発音規則が適用されます。
1. -us は「ユス」と発音する(us はラテン語の男性名詞の語尾)。
bus ビュス(路線バス)
terminus テルミニュス(終着駅)
2. -um は「オム」と発音する(um はラテン語の中性名詞の語尾)。
aquarium アクワリオム(水槽、水族館。 qua を「クワ」と読むのも例外的。普通は qu は k と同じように発音するので qua は「カ」となる)
3. en は in, im などと同じ鼻母音になる
普通なら an, am, en, em の発音になるはずですが、学術用語等の単語では(ラテン語に限らず)、そうはならない場合があります。
examen エグザマン(試験)
4. 数詞や月の名は少し不規則
その他、数詞は不規則な発音になる場合があるので、別途、覚える必要があります(「ローマ数字」のページの数詞の表などを参照)。
また、12 か月の月の名前にも発音が不規則なものがかなり含まれています。
5. その他の例外
それ以外にも、綴りと発音が一致しない単語が一定数あり、個別に覚えるしかありません。たとえば、
Monsieur ムッシュー(男性への敬称。例外的に on を軽く「ウ」と発音し、最後の r は発音しない)
fils フィス(息子。例外的に l を発音せず、s を発音する)
femme ファム(女。例外的に f の後ろの e を「ア」と発音する)
automne オートンヌ(秋。例外的に m は発音しない)
baptême バテーム(洗礼。例外的に p は発音しない)
oignon オニョン(オニオン、玉ねぎ。例外的に i は発音しない)
フランス語特有の文字について
フランス語には「アクサン」と呼ばれる特殊な記号がついた文字があります。
これは英語の「アクセント」とはまったく別物で、「強く発音する音」という意味ではなく、つづり字の一部です。いわば日本語の濁点のようなもので、単語によって固定されています。
具体的には、
アクサン テギュ (é)
アクサン グラーヴ (è, à, ù)
アクサン シルコンフレクス (â, ê, î, ô, û)
トレマ (ë, ï, ü)
セディーユ (ç)
があります。
詳しくは「文法用語」のページの各項目の説明を参照してください。
他のカタカナ発音の用例
以下の仏和辞典には、カタカナ発音も記載されています(ただし、辞書によって多少カタカナ表記のしかたが異なります)。
- 『 プチ・ロワイヤル仏和辞典 』 (旺文社)
- 『 ディコ仏和辞典 』 (白水社)
- 『 プログレッシブ仏和辞典 第2版 』 (小学館)
- 『 クラウン仏和辞典 』 (三省堂)
「動詞の活用編」ではカタカナ発音を併記しています。
「ことわざ編」の総合索引(ABC順)では、諺のカタカナ発音を記載しています。
また、歌を聴きながら歌詞を見て歌を覚えると、発音の規則も理解できて一石二鳥です。
カタカナ発音ではない正確な発音を聴く方法
たとえば、ラルースの仏英辞典で、右側に「虫眼鏡のマーク」がついた検索欄にフランス語を入力して Enter キーを押し、出てきた単語の項目の左側の「スピーカーのマーク」をクリックすると、発音を聴くことができます。朗読のプロが吹き込んだと思われる、メリハリの効いた美しいフランス語です。
その他、ラジオの語学講座や、フランス語の歌詞のついた音楽を聴くなどして、なるべく早くカタカナ発音を卒業してください。
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