疑問文
疑問文
oui か non を問う疑問文
Oui(はい)か Non(いいえ)の答えを要求する疑問文を作る場合、一番簡単なのは、平叙文と同じそのままの語順で、文末にかけてイントネーションを上げるやり方です。しかし、これはくだけた会話のみで使われ、解説の必要もないので、ここでは除外します。
次に簡単なのは、文の最初に「Est-ce que」をつけることです。
一番厄介なのは、主語と動詞を倒置にするやり方です。このやり方を中心に見ていきましょう。
- 主語と動詞を倒置にして、ハイフンで結び、文末に疑問符をつければ、疑問文になります。次の文の「gentil(親切な)」は形容詞で、第2文型です。
Il est gentil. (彼は親切です)
→ Est-il gentil ? (彼は親切ですか?)
( = Est-ce qu'il est gentil ? )
簡単に済ませたければ、文の最初に「Est-ce que」をつけると、倒置にせず、そのままの語順で疑問文になります。
これは、よく見ると「Est-ce que」の Est と ce が倒置になっており、ここで疑問文に必要な倒置は行われているため、que の後ろでは倒置が免除されるためです。
「Est-ce que... ?」は、逐語訳すると「それは... ですか?」という意味です。
- 動詞の3人称単数の語尾が e か a で終わり、次に代名詞 il, elle, on がくる時は、動詞と代名詞の間に -t- を入れるという規則があります。
これは、母音が重なって発音しにくくなるのを避けるためのもので、t 自体には何の意味もありません。
例えば、次の「aime」は他動詞「aimer(愛する)」の現在3人称単数で、e で終わるため、倒置にするときは t が入ります。
Il aime Juliette. (彼はジュリエットを愛している)
→ Aime-t-il Juliette ? (彼はジュリエットを愛していますか?)
( = Est-ce qu'il aime Juliette ? )
- 主語が名詞の場合は、名詞を残したまま、それを受ける代名詞を動詞の後ろに置き、ハイフンで結びます。
Roméo est gentil. (ロメオは親切です)
→ Roméo est-il gentil ? (ロメオは親切ですか?)
( = Est-ce que Roméo est gentil ? )
この倒置の疑問文は、逐語訳すると、「ロメオ、彼は親切ですか?」という感じです。
- さきほどと同様、動詞の3人称単数の語尾が e か a で終わり、次に代名詞 il, elle, on がくる時は、動詞と代名詞の間に -t- を入れます。
Roméo aime Juliette. (ロメオはジュリエットを愛している)
→ Roméo aime-t-il Juliette ? (ロメオはジュリエットを愛していますか?)
( = Est-ce que Roméo aime Juliette ? )
3. 間接疑問
間接疑問の場合は、接続詞「si(かどうか)」を使います(英語の if に相当)。
この si は「もし」という意味ではありません。
疑問形容詞 quel
quel は、名詞に合わせて次のように変化します。
女性単数は l をダブって e をつけ、複数はそれぞれ s をつけた形になります。
男性 | 女性 | |
単数 | quel | quelle |
複数 | quels | quelles |
発音は、4つの形ともすべて同じ「ケル」です。
用法は、基本的に次の 3 つです。
1. 付加的用法(「どの」)
これは英語の which に相当します。
Il me demande : « Quelle voiture avez-vous achetée ? »
(彼は私に尋ねます。「どの車をあなたは買ったのですか?」)
「demande」は他動詞「demander(尋ねる)」の現在3人称単数。 « » は日本語の「 」に相当する引用符で、「ギユメ」と言います。
「voiture (車)」は女性名詞で単数形なので、「Quelle」は女性単数の形になっています。この quel を使うと、基本的にその後ろで主語と動詞が倒置になります。主語が代名詞だとハイフンが入ります。
「avez」は 助動詞 avoir の現在2人称複数。「acheté」は他動詞「acheter (買う)」の過去分詞(p.p.)。「avoir + p.p.」で複合過去です。過去分詞「acheté」に e が付いていますが、これは「過去分詞の性数の一致」により、直接目的(OD)が前に出たために、それに合わせて女性単数の e が付いています。
2. 属詞的用法(「何」)
これは英語の what に相当します。
Il me demande : « Quel est votre nom ? »
(彼は私に尋ねます。「あなたの名前は何ですか?」)
「nom (名前)」は男性名詞で単数なので、これに合わせて「Quel」も男性単数の形になっています。
3. 間接疑問
1) 付加的用法の間接疑問
上の 1 の例文を、間接話法に書き換えると、次のようになります。
間接疑問の場合は、quel の後ろは倒置にはなりません。
Il me demande quelle voiture j'ai achetée.
(彼は私に、どの車を私が買ったのかを尋ねる)
「demande(尋ねる)」の直接目的(OD)は、「quelle voiture j'ai achetée」全体です。
この大きな直接目的(OD)の中を詳しく見てみると、「quelle voiture」が小さな直接目的(OD)、「j'」が小さな主語(S)、「ai achetée」が小さな動詞(V)です。
2) 属詞的用法の間接疑問
上の 2 の例文を、間接話法に書き換えると、次のようになります。
quel の後ろは直接疑問の場合と同じ語順になります。
Il me demande quel est mon nom.
(彼は私に、私の名前は何であるのかを尋ねる)
疑問代名詞 lequel
lequel は「どれ」または「誰」という意味です。
名詞に合わせて次のように変化します。
男性 | 女性 | |
単数 | lequel | laquelle |
複数 | lesquels | lesquelles |
lequel は、分解すると le (定冠詞) + quel (上の「どの」)で成り立っています。
そのため、前半部分の「le」は、定冠詞と同様に le, la, les (複数は男女同形)と変化し、後半部分の quel は、上の quel と同様に変化します。
- 用例
Laquelle de ces voitures préférez-vous ? - Je préfère celle-ci.
(「これらの車のうち、どれが好きですか?」「私はこれが好きです」)
「préférez」は他動詞「préférer(好む、好きだ)」の現在2人称複数。この動詞は「répéter」と同じタイプの活用をする不規則動詞です。「ces」は指示形容詞で「これらの」。「voiture(車)」は女性名詞ですが、複数の s がついているため、何台かあるわけです。そのうちの、どの 1 台が好きかを聞いているため、女性単数の laquelle を使っています。
答えの「préfère」は「préférer」の現在1人称単数。「celle」は指示代名詞 celui の女性単数の形です(1台の車(女性名詞)を指すため、女性単数の形になっています)。「-ci」は近くのものを指すときにつけます。
- この lequel は、前置詞つき関係代名詞にもなります。
疑問代名詞 qui, que, quoi など
例えばフランス語を少し習った人は、
Qu'est-ce que c'est ? (それは何ですか?)
という表現に触れたことがあると思います。発音は「ケ ス ク セ」です。発音が短いわりに綴りがたくさんあり面倒ですが、下の表のように「Qu'est-ce que」は直接疑問で(=つまり文頭で)直接目的または属詞として使用し、物に関して「何を・何」という意味になる、と捉えれば理解しやすいと思います(この文は、また「例文」で取り上げます)。
「直接疑問」とは、疑問代名詞が文頭に来て、最後に疑問符(?)で終わる疑問文のことです。
「間接疑問」とは、これらの表現が基本的に文頭以外に来て、文中に埋め込まれる用法で、最後に疑問符はつきません。
次の 2 つの表は、同じ数字のものが対応関係にあります。
主語 | 直接目的・属詞 | 強勢形 | |
人 | 1a 誰が qui qui est-ce qui | 3a 誰を・誰 qui + 倒置 (qui est-ce que) | 5a 誰 qui |
物 | 2a 何が qu'est-ce qui | 4a 何を・何・どのよう que + 倒置 qu'est-ce que | 6a 何 quoi |
主語 | 直接目的・属詞 | 強勢形 | |
人 | 1b 誰が qui | 3b 誰を・誰 qui | 5b 誰 qui |
物 | 2b 何が ce qui | 4b 何を・何・どのよう ce que | 6b 何 quoi |
前置詞の後ろでは強勢形を使います。
- 直接疑問の例文
いくつか例文を挙げてみます。
4a Que cherchez-vous ? (何をお探しですか?)
「vous」が主語(S)、「cherchez」は他動詞で規則動詞の「chercher (探す)」の現在2人称複数で動詞(V)、「Que (何を)」が直接目的(OD)です。
この que の後ろは倒置になります。主語が代名詞だと、動詞と主語の間にハイフンを入れます。
4a Qu'est-ce que vous cherchez ? (何をお探しですか?)
「vous」が主語(S)、「cherchez」が動詞(V)、「Qu'est-ce que (何を)」が直接目的(OD)です。
4a Qu'est-ce que c'est ? (それは何ですか?)
「c'」は指示代名詞 ce で後ろに母音がきた時の形で主語(S)、est は être (~である) の3人称単数で動詞(V)、「Qu'est-ce que」が属詞(C)です。
6a De quoi parlez-vous ? (何について話しているの?)
「parlez」は規則動詞「parler(話す)」の現在2人称複数。「parler de ~」で「~について話す」となります。この「~」の部分が「quoi」になっています。
前置詞の後ろでは強勢形になるため、強勢形を使っています。
quoi の代わりに qui を使うと、
5a De qui parlez-vous ? (誰について話しているの?)
となります。
「直接話法」とは、人が言った文をそのまま引用する言い方のことで、それが疑問文であれば「直接疑問」になります。例えば、
4a Il m'a demandé : « Qu'est-ce que tu as fait hier ? »
(彼は私に尋ねた。「昨日、君は何をしたの?」)
「a」は助動詞 avoir の現在 3人称単数。「demandé」は「demander(尋ねる)」の過去分詞(p.p.)。avoir + p.p. で複合過去です。 « » は日本語の「 」に相当する引用符です。「as」も助動詞 avoir の現在2人称単数。「fait」は他動詞 faire(する)の過去分詞で、やはり avoir + p.p. で複合過去になっています。「hier(昨日)」は副詞です。
これを間接話法に書き換えると、「間接疑問」になります。さきほどの直接疑問の表の「qu'est-ce que」(4a)に対応するのは、間接疑問の表の「ce que」(4b)です。
4b Il m'a demandé ce que j'avais fait la veille.
(彼は私に、その前日に何をしたのか尋ねた)
間接話法では、英語と同様、時制の一致をします。主節が過去なので、従属節では「過去における過去」で大過去になります。この文では、「avais」が助動詞 avoir の半過去1人称単数、「fait」が過去分詞なので、あわせて大過去になっています。「veille」は「前日」(女性名詞)ですが、意味上、「その前の日」というように限定(特定)されるため、基本的に定冠詞をつけて言います。このように、直接話法の「hier(昨日)」は間接話法では「la veille(その前日に)」となります。ちなみに「la veille」は副詞的に使われます。
この ce que は、以上のように間接疑問の表現であると理解することができますが、もうひとつ、que が関係代名詞で ce が先行詞であると解釈することもできます。
ce は先行詞になると「...なもの」「...なこと」という意味なので、関係代名詞らしく訳すと、
「彼は私に、その前日にしたことを尋ねた」
となります。
英語の what も、「何を」という意味(疑問詞)にも、「...したこと」という意味(先行詞つき関係代名詞)にも解釈できる場合がありますが、それと同じです。
ちなみに、ce que の他、間接疑問の主語・物の ce qui と強勢形の quoi (ce がつく場合)も、関係代名詞として説明することも可能です。
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