フランス語文法の全体像の把握を目指す、構文把握力・読解力重視の無料オンライン フランス語講座。

文法用語

文法用語解説

フランス語は英語よりも文法体系がしっかりしており、決まりごとも沢山あるため、文法用語の数も多くなってしまいます。本講座で使用している文法用語は、フランス語の構造を把握するのに必要不可欠な用語に絞っていますが、それでも初心者には耳慣れない言葉がかなり出てくると思いますので、このページで索引代わりに一部を説明しています。
本講座では、なるべくオーソドックスな(伝統的に使われている)文法用語を使用するようにしています。

                  す  
    つ て    な  ぬ ね の       
  ま       や  よ   ら  る  
  A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V  記号

あ行

アクサン accent
accent は英語では「アクセント」と発音しますが、フランス語では語末の t は原則として読まないので、同じ綴りで「アクサン」と呼びます。
英語で「アクセント」と言うと「強く発音する音」のことを指しますが、フランス語のアクサンは基本的には発音の強弱とは無関係です。発音記号ではなく、つづり字の一部であり、アクサンの有無(どのアクサンがつくか)は単語ごとに決まっていて、固定されています。ですから、例えば e と é と è は別のアルファベットだと考えたらわかりやすいと思います。つまりフランス語はアルファベットが 26 文字ではなく、下記 13 文字を加えた、合計 39 文字あると考えたらわかりやすいと思います。
「アクサン」は a, i, u, e, o の上および c の下につける記号のことを指し、具体的には以下の 5 種類があります(詳しくは各項目を参照)。
  アクサン テギュ(é)
  アクサン グラーヴ(è, à, ù)
  アクサン シルコンフレクス(â, ê, î, ô, û)
  トレマ(ë, ï, ü)
  セディーユ(ç)
文頭などで、アクサンがついた文字(à, é など)を大文字で使う場合(À, É など)は、アクサンを省略する(A, E と表記する)こともあります。これは印刷上の理由によるもので、前の行との行間がなくなってしまう(行間を維持しようとすると小さな大文字になってしまう)からです。
アクサンがついた文字は、コンピュータ関係では「欧文特殊文字」と呼ばれることがあります。

アクサン グラーヴ accent grave
アクサン グラーヴとは、「アクサン」(上記参照)の一種で、 a, e, u の上につける、左上から右下に落ちる記号のこと。 à, è, ù の 3 文字あります。
「grave(グラーヴ)」は「重い」という意味の形容詞です。 è, ù は少し重々しく(強調して、伸ばしめに)発音するともいえますが、あまり気にする必要はありません( à はアクサン グラーヴがあってもなくても、まったく発音は同じです)。

アクサン シルコンフレクス accent circonflexe
アクサン シルコンフレクスとは、「アクサン」(上記参照)の一種で、 a, i, u, e, o の上につける、への字形(山形)の記号のこと。 â, î, û, ê, ô の 5 文字あります。
i の場合は i の上の点の代わりに(点を省いて)、この記号をつけます。
語源的には「circonflexe(シルコンフレクス)」の circon は「周囲の、取り囲む」、 flexe は「曲がった」という意味で、への字形の記号の形を意味します。

アクサン テギュ accent aigu
アクサン テギュとは、「アクサン」(上記参照)の一種で、 e の上につける、右上から左下に落ちる記号のこと。 é の 1 文字だけです。
「aigu」(発音は単独では「エギュ」ですが、「リエゾン」するので「テギュ」)は「鋭い」という意味の形容詞です。やや短く鋭い感じで発音するともいえますが、あまり気にする必要はありません。

アポストロフ apostrophe
後ろに母音がくると、「エリジヨン」によって e は「 ’」に置き換わりますが、この「 ’」という記号のことを「アポストロフ(apostrophe)」と言います。英語の「アポストロフィ」と同じ記号です(具体例は「エリジヨン」の項目を参照)。

  • なお、修辞学(レトリック)では「アポストロフ(apostrophe)」とは「文章中で呼びかけること」を意味し、日本語では「頓呼法(とんこほう)」と訳されます(抽象概念を擬人化して呼びかける場合などに使われます)。
    ⇒ 例文(ラ・マルセイエーズ)

アルファベ alphabet
英語の「アルファベット」のことをフランス語では「アルファベ」と発音します。フランス語では原則として末尾の t は発音しないので、つづりは英語と同じ alphabet(そして意味も同じ)で、発音が異なるだけです(本講座では、わかりやすいように主に「アルファベット」と呼んでいます)。個々のアルファベットの読み方については「フランス語のアルファベットの読み方」を参照してください。

アンシェヌマン enchaînement
「アンシェヌマン」とは、もともと「チェーン(chaîne)でつなぐこと、連鎖」を意味する言葉で、「次に母音で始まる単語がきた時に、単語末尾の子音を、次の母音とつなげて滑らかに発音すること」を意味します。
たとえば英語の he is(彼は~である)に相当する
  il est
の場合、個別に発音すると il は「イル」、「est」は「エ」ですが、あたかも一語の ilest という単語であるかのように、つなげて滑らかに「イレ」と発音します。この現象のことを「アンシェヌマン」と呼びます。
ちなみに、もともと発音しない単語末尾の子音を、次の母音とつなげて発音する現象のことを「リエゾン」と呼びます。

イーエル動詞(イーエルどうし) verbe en -ir
「イーエル動詞」とは、不定詞の末尾が ir で終わる規則動詞のこと(「イーエル」とは、フランス語のアルファベットの読み方では i を「イー」、r を「エール」(または短めに「エル」)と発音することからくる呼び名)。別名「第二群規則動詞」ともいいます。規則動詞の項を参照してください。

ウーエル動詞(ウーエルどうし) verbe en -er
「ウーエル動詞」とは、不定詞の末尾が er で終わる規則動詞のこと(「ウーエル」とは、フランス語のアルファベットの読み方では e を「ウー」、r を「エール」(または短めに「エル」)と発音することからくる呼び名)。別名「第一群規則動詞」ともいいます。規則動詞の項を参照してください。

ヴィルギュル virgule
フランス語の virgule(ヴィルギュル)は、英語のコンマとまったく同じです。日本語の読点(、)に相当します。
英語の「コンマ」とまったく同じものを指し、ことさらフランス語で呼ぶ意味・必要性がないと思われるため、本講座では「コンマ」と呼んでいます(「コンマ」の項目を参照)。

エリジヨン élision
エリジヨン(エリジオン、エリズィヨン、エリズィオンとも表記)とは、もともと「省略」「脱落」という意味で、後ろに母音がきたときに e(または a, i )が省略されて(脱落して)「アポストロフ」( の記号)に置き換わる現象のことを指します。
たとえば、「希望」を意味する espoir(エスポワール)という単語は、男性名詞なので定冠詞をつけるときは le(ル)をつけますが、
  le espoir(ル エスポワール)
となるべきところ、le の e の後ろに母音 e があるので、必ず e が落ちて に置き換わり、
  lespoir(レスポワール)
となります。
e 以外では、定冠詞 la の a は、後ろに母音がくると に置き換わります。
接続詞 si(もし)の i は、後ろに il または ils がくると ’ に置き換わります。
  si + il  → sil
  si + ils → sils
なお、élision の動詞の形は s'élider(脱落する、脱落する)。

  • ちなみに、詩法の解説では、詩では通常は発音される「無音の e」が(母音の前や行末にあるために)発音されなくなる(=「音綴」としてはカウントされなくなる)現象のことも「エリジヨン」と呼ばれます。

音節(おんせつ) syllabe
音節とは、基本的には母音 1 つを含む語の単位のことで、たとえば pot(壺)は母音を 1 つ含む 1 音節の単語、merci(ありがとう)は母音を 2 つ含み、mer-ci と分けられる 2 音節の単語です。
厳密には、音節の区切り方は 2 通りあり、「綴り上の音節」(=綴り字上の音節、正書法上の音節ともいう)の場合は「母音字」をもとに考え、「発音上の音節」(=音声学上の音節ともいう)の場合は「母音」をもとに考えていくため、両者は異なる場合があります。
たとえば、naturellement という単語は、「綴り上の音節」で見た場合は「母音字」が 5 つ含まれているので na-tu-rel-le-ment というように 5 音節に区切れます。しかし、「発音上の音節」で見た場合は naturellement の e はいわゆる「無音の e」であるために会話では脱落して「ナ・チュ・レル・マン」というように 4 音節と数えられます。
詩では「綴り上の音節」(すなわち「音綴」)をベースにして見ていきます。

音綴(おんてつ) syllabe
「音節」も「音綴」もフランス語 syllabe(シラブ)の訳です。両者をあわせて広義の「音節」と呼ぶこともあります。広義の音節は、「綴り上の音節」と「発音上の音節」に分かれますが、特に伝統的な詩法の解説では前者を「音綴」と呼び、後者を狭義の「音節」と呼んで区別することがあります(前項「音節」を参照)。
たとえば、「アレクサンドランとは 1 行が 12 音節 (douze syllabes) からなる詩の形式のことである」と(簡単にいうと)いえますが、こうした場合は日本では伝統的には「12 音綴」という言葉が使われてきました。
ただし、「り字で見た場合の節」のことを縮めて「音綴」と呼ぶのは日本語として多少無理があり、造語の匂いが強い気もします。もとのフランス語では(少なくとも一語で言う場合は)syllabe と呼んで音節も音綴も区別しないこともあって、最近は日本でも「音綴」という言葉を使わずにすべて「音節」と呼ぶことも多くなっているようです。
読解編「ラ・マルセイエーズ」のページでは、「詩の音節(音綴)の数え方についての基本的な規則」について少し触れています。

か行

係る(かかる) qualifier
文法の説明で使われる「係る」というのは、「修飾する」と同じ意味です。例えば
  une belle fleur(美しい花)
という例では、belle(美しい)が fleur(花)に「係っている」といえます。あるいは belle(美しい)が fleur(花)を「修飾している」と言っても同じです。
訳す場合は belle(美しい)を fleur(花)に「掛けて」訳す、という表現をします。

(かく)
ラテン語やドイツ語と違ってフランス語には「格変化」や「格支配」は存在しません。歴史的には、ラテン語からフランス語に移り変わる際に、「格」の役割は前置詞が果たすことになりました。単純化すると、ラテン語の属格(ドイツ語の 2 格)はフランス語の de に、また与格( 3 格)は à に対応し、これらの言語における動詞の「格支配」とは、フランス語の間接他動詞が de または à を伴うことに対応していると言えるかもしれません。
フランス語における間接他動詞の重要性の秘密は、恐らくここに隠されています。

活用(かつよう) conjugaison
「活用」とは、動詞が主語に合わせて変化することです。
活用していない状態(辞書に載っている形)が「不定詞」です。

ガリシスム gallicisme
「外国語に逐語訳できないフランス語特有の表現」(朝倉)のこと。「人称代名詞」のページの Il y a の項目の il の説明も参照してください。

関係詞(かんけいし) relatif
関係代名詞関係副詞をあわせて関係詞と呼びます。

関係詞節(かんけいしせつ) proposition relative
関係詞節とは、関係代名詞によって始まる(または、前置詞つき関係代名詞の場合はその前置詞によって始まる)「」のことで、直前の先行詞修飾する、カッコに入れることができる部分のことです。「関係節」「関係代名詞節」とも言います。
関係詞節になる(カッコに入る)のは、関係代名詞の前から(「前置詞つき関係代名詞」の場合は、その前置詞の前から)です。どこまで関係詞節になる(カッコに入る)かというと、一般的な大原則として、「節」(=小さな S + V を含むグループのこと)の中に動詞が 2 つ存在することは(並列の場合を除き)ありえないので、 2 つめの動詞の前までになります(この考え方については「関係代名詞」のページで例文を挙げて説明しています)。

関係副詞(かんけいふくし) adverbe relatif
「関係代名詞」のページで取り上げている où は、正確にいえば「関係副詞」ですが、本ホームページでは他の関係代名詞と一緒に説明しています。
また、関係代名詞 dont が「そこから」という意味になる場合もあり、この場合の dont も「関係副詞」に分類することができますが、この意味では現在では dont ではなく d'où を使うのが一般的なので、フランス語の「関係副詞」は実質的には où 一つだけということになります。

間接疑問(かんせつぎもん) interrogation indirecte
間接疑問とは、直接話法では普通の疑問文(直接疑問)だった文が、間接話法によって疑問詞が文中に埋め込まれた形のものを指します。 ⇒ 例文

間接他動詞(かんせつたどうし) verbe transitif indirect
間接他動詞とは、特定の前置詞(à か de)を介して目的語を伴う動詞のことです。詳しくは「6文型」のページの「間接他動詞」の説明を参照してください。
実はフランス語学の世界でも、「間接他動詞」を認めず、英語流にこれを「自動詞」に含める考え方もあります。
具体的には、『ロワイヤル仏和中辞典』、『小学館ロベール仏和大辞典』、仏仏辞典 Le Petit Robert, Le Petit Larousse Illustré, Le Trésor de la Langue Française, 朝倉『フランス文法事典』などは「間接他動詞」の存在を認めていますが、『クラウン仏和辞典』、『ディコ仏和辞典』、『スタンダード仏和辞典』、仏仏辞典 Dictionnaire de l'Académie française などはこれを認めず、「自動詞」に含めています。お手持ちの辞書で例えば dépendre を引き、どのように記載されているか確認してみてください。
本講座では、「間接他動詞」という分類を認めたほうが、フランス語の特質が明らかになり、またフランス語の構造を把握する力も向上するという考え方から、「間接他動詞」という分類を積極的に認める立場を取っています。
関連するページ:6文型

間接目的語(かんせつもくてきご) objet indirect
間接目的語とは、「動詞の目的語となっていて、前に前置詞がついている」言葉のことです。本講座では単に「間接目的」とも言っています。フランス語では「objet indirect」なので「OI」と略します。訳すと「~に」となる場合が多いですが、もちろんそうでない場合もたくさんあります。「6文型」のページでは、直接目的と間接目的を区別することの重要性について説明しています。
なお参考書によっては「間接目的補語」(complément d'objet indirect)と呼ぶこともあり、語学的には正しいのですが、「補語」という表現は漠然と広い範囲を指し、また英語とフランス語では「補語」という言葉が意味するものが異なるので、混乱を避けるために、本講座では「間接目的補語」という言い方は採用していません。
関連するページ:6文型

間接話法(かんせつわほう) discours indirect
間接話法とは、直接話法の反対で、引用符(ギユメ)を使わずに、人が言った文をそのままの形ではなく(主語の人称などを変えて)引用する言い方のこと。
「と彼は言った」のように、主節が過去の場合は、時制の一致をします。また、時を表す副詞は、「現在を起点にした表現」から「過去を起点にした表現」に変えます
なお、間接話法による疑問文のことを「間接疑問」といいます。

感嘆詞(かんたんし) exclamatif
感嘆詞には
  Quel(何という)
  Que(何と)
  Combien(どれほど)
  Comme(何て)
などがあり、これらを文頭に置いて感嘆文を作ります。Quel, Que, Combien は疑問詞にもなりますが、疑問文と違って感嘆文では通常は倒置にはしません。
この中で一番まぎらわしいのは Que かもしれません。なぜなら、願望・祈願・ 3 人称に対する命令を表す独立節でも、最後に感嘆符(!)がつくこともあるからです。しかし見分け方は簡単で、Que の後ろの動詞が
  直説法だったら感嘆文
  接続法だったら願望・祈願・ 3 人称に対する命令を表す独立節
です。

感嘆文(かんたんぶん) phrase exclamative
通常は文頭に感嘆詞を置き、文の最後に感嘆符(!)をつけ、直説法を使用します。通常は主語と動詞は倒置にせず、普通の語順にします。

間投詞(かんとうし) interjection ; interjectif
間投詞とは、Ah !(ああ!)、Tiens !(ほら)などの一種の叫び声を示す言葉のこと。日本語文法では「感動詞」と呼ばれます。
文法用語 interjection は、語源的には inter-(「間に」を意味する接頭語)と jection(jeter「投げる」のもとになったラテン語に由来する言葉)に分けられます。

感動詞(かんどうし)
前項「間投詞」を参照。

基数(きすう) (nombre) cardinal
物を数えるときに基本となる数字をあらわす言葉(数詞)。反対語の「序数」と対をなす概念です。具体的にはローマ数字のページを参照してください。

規則動詞(きそくどうし) verbe régulier
フランス語には、
  語尾が er で終わる「er(ウーエル)動詞」、別名「第 1 群規則動詞」
  語尾が ir で終わる「ir(イーエル)動詞」、別名「第 2 群規則動詞」
の 2 種類の規則動詞があります。それ以外は不規則動詞です。
実際の「活用」については、「動詞の活用編」の「直説法現在」の項目を参照してください。

疑問詞(ぎもんし) interrogatif
疑問詞とは、疑問文をつくる時に使われる疑問形容詞疑問代名詞、および疑問副詞(quand [いつ]、où [どこで]、comment [どのように]、pourquoi [なぜ] など)のことです。

ギユメ guillemet(s)
ギユメとは、フランス語で使われる引用符(会話の内容をそのまま引用するときのしるし)で、 « » という記号を指します。日本語の「 」に相当します。英語と同じ “ ” も使われます。インターネットの普及のせいか、 « » よりも “ ” が使われる割合が以前よりも少し高くなっているような気がします。
なお、ギユメの中の文が完結していて、ギユメ終了時にピリオドを打つ場合は、
   «  . »
というように、先にピリオドを打つのが正しい書き方です。

強勢形(きょうせいけい) forme tonique, pronom tonique
代名詞(特に人称代名詞)の形の一つです。意味・用法については「強勢形の用法」を参照してください。

強調構文(きょうちょうこうぶん) phrase emphatique
関係代名詞 II」のページで説明しています。

虚辞の ne(きょじのぬ) ne explétif
否定文」のページの「虚辞の ne」の説明を参照してください。

近接過去(きんせつかこ) passé récent
助動詞」のページの「近接未来・近接過去」の説明を参照してください。

近接未来(きんせつみらい) futur proche
助動詞」のページの「近接未来・近接過去」の説明を参照してください。

(く) locution
フランス語の文法で「句」とは、「相当句」ともいい、2語以上集まって全体で 1語の言葉(接続詞、前置詞、動詞、副詞など)に相当するまとまりを指します。一種の「熟語」です。
接続詞句前置詞句動詞句副詞句などがあります。

繋合動詞(けいごうどうし) verbe copule
「繋合動詞」とは、「繋(つな)ぎ合わせる動詞」という意味です。つまり「A は B である」というように、A と B をイコールで「繋ぎ合わせる」わけです。具体的には、être またはそれに準じる動詞を指します。「属詞」とセットで使います。
これはフランス語の文法用語「copule」の訳です。「copule」は「繋辞(けいじ)」と訳す場合もありますが、「繋辞」はすべて動詞なので「繋合動詞」(verbe copule)と呼ぶこともあり、本講座でもこの言い方を採用しています。動詞の一種類だと捉えるべきだからです。
関連するページ:6文型

欠如動詞(けつじょどうし) verbe défectif
欠如動詞とは、「活用」の一部が欠けている(使われない)動詞のこと。例えば 3 人称単数の形しかない動詞などです。具体的には、falloir, pleuvoir などがあります。

現在完了(げんざいかんりょう)
フランス語文法では「現在完了」という用語は普通は使いません。英語の「現在完了」に相当する内容の多くは、フランス語では「複合過去」を使って表現します。
「助動詞」のページの英語 have+p.p. とフランス語 avoir+p.p. の対応表および「直説法の8時制」のページの複合過去の項目を参照してください。

限定形容詞(げんていけいようし) adjectif déterminatif
「限定形容詞」とは、いわゆる普通の形容詞(品質形容詞)以外の特殊な形容詞のことで、名詞の前に置きます。具体的には、所有形容詞指示形容詞疑問形容詞不定形容詞などのことです。この用語を使わなくても文法は説明できるので、本講座では基本的にこの用語は使用していません。

限定辞(げんていじ) déterminant
「限定辞」とは、「名詞の前につけて、名詞の意味を限定・特定する言葉」という意味で、要するに冠詞または冠詞の代わりとなる言葉のことを指します。この用語を使わなくても文法は説明できるので、本講座では基本的にこの用語は使用していません。

合字(ごうじ) ligature
「合字」とは、2つの活字を合わせて一つにした活字のこと。フランス語で現在も一般に使われているのは、基本的には o と e を合わせた「œ」だけです。
「アンド」を意味する & も、もとはラテン語(とフランス語)で「そして」を意味する et の e と t を組み合わせて生まれた記号なので、広い意味での合字だともいえます。

コロン deux-points
ドゥポワン」の項目を参照してください。

コンマ virgule
フランス語では virgule(ヴィルギュル)と言います(「ヴィルギュル」の項目を参照)。
一般に、挿入句を文中に入れる場合は前後にコンマを打ちます。
たとえば、分詞として形容詞的に直前の名詞に係る場合は分詞の直前にはコンマを打たないことが多く、分詞構文の場合は前後にコンマを打つ場合が多いといえます。
また、関係代名詞の前にコンマがあったら、後ろから前に(関係詞節を先行詞に)掛けて訳すのではなく、訳し下ろす(いったんコンマの前までを訳してから関係詞節の中を訳す)ようにすると、うまくいくことが多いと思います。
ただし、特にフランス語では、コンマの有無は厳密なものではなく、個人差があるので、迷ったらコンマの有無よりも意味内容を優先させるべきです。

さ行

再帰的代名動詞(さいきてきだいめいどうし) verbe pronominal réfléchi
「再帰的代名動詞」とは、「代名動詞」の下位区分として使われる用語で、再帰代名詞が「自分」という意味になるものを指します。本講座では、なるべくこの言葉は使用していません。「再帰代名詞」のページの「再帰的」を参照してください。

子音(しいん) consonne
子音とは、「母音」(簡単にいえばアイウエオのこと)を除く音のこと。
なお、綴りを主眼として見た場合は「子音字」という言い方をすることがあります。

使役動詞(しえきどうし) factitif ; verbe factitif
使役動詞とは、「~させる」という意味を添える動詞のことで、フランス語では faire と laisser を使い、使役動詞の後ろには不定詞がきます。
もともと faire は他動詞で「する、作る」という、英語の do と make を併せた意味の言葉です(英語の make も「~させる」という使役動詞になります)。
laisser は他動詞だと「譲る」という意味で、使役動詞として使う場合は「~させておく」という「放任」の意味になります(英語の let に相当)。
なお、使役動詞の後ろでは再帰代名詞は省略されやすくなります。
  ⇒ faire の例文(諺)  ⇒ laisser の例文(ケ・セラ・セラ)
使役動詞は「知覚動詞」に似ています。

ジェロンディフ gérondif
フランス語の文法用語「gérondif」そのままです。訳すのが困難なので、日本ではこのようにカタカナで呼びますが、何のことはない、「現在分詞を使った分詞構文で、現在分詞の前に en がついた形」のことです。
なお、フランス語以外の言語では、「gérondif」に似た言葉が「動名詞」を指す文法用語として使われる場合がありますが、それらとは内容的にまったく異なり、そもそもフランス語に「動名詞」は存在しません(「動名詞」の項目を参照)。
関連するページ:分詞

時制(じせい) temps
時間的関係(現在、過去、完了、未来など)を表す動詞の形態のこと。フランス語には合計 14 の時制があります(直説法は 8 時制、条件法は 2 時制、接続法は 4 時制)

時制としての条件法(じせいとしてのじょうけんほう) conditionnel temporel
時制の一致」によって使われる条件法の用法を指します。「法としての条件法」と対をなします。

時制の一致(じせいのいっち) concordance des temps
「時制の照応」と呼ばれることもあります。直説法の「時制の一致」の他、接続法の「接続法半過去」と「接続法大過去」も「時制の一致」の一種です。

集合名詞(しゅうごうめいし) nom collectif
集合名詞とは、形の上では単数形でありながら、意味的には複数のものを指す名詞のこと。例:
  le peuple français(フランス国民)
  tout le monde(皆) 〔熟語〕
  la jeunesse(若者)
例えば「la jeunesse」は意味的に複数なので、「若者達」と訳すこともできます。

修飾する(しゅうしょくする) qualifier
文法の説明で使われる「修飾する」というのは、「係る」と同じ意味です。「係る」の項目を参照してください。

従属節(じゅうぞくせつ) proposition subordonnée
従属節とは、要するに「小さな主語(S)と動詞(V)を含むグループ」のこと。単に「節」というと、普通は「従属節」のことを指します。このグループが、ひとまとまりで、大きな文全体の中で主語になったり、目的語になったり、副詞節になったりします。例えば、

  • Je crois qu'il est gentil.(私は彼が優しいと思う)
    「crois」は croire(思う)の現在1人称単数。「qu'」は関係代名詞ではなく接続詞の que(英語の that)で、後ろに母音がきたために e が ' になった形。「gentil(優しい)」は形容詞。

この文は、「il」が小さな主語(S)、「est」が小さな動詞(V)、「gentil」が小さな属詞(C)で、「qu'il est gentil」全体が節(従属節)となっています。そして「Je」が大きな主語(S)、「crois」が大きな動詞(V)で、この動詞が他動詞なので、「qu'il est gentil」全体が大きな直接目的(OD)となっています。つまり、大きく見ると S + V + OD(これが主節)で、この OD は小さな S + V + C(これが従属節)で成り立っています。英語の「I think that he is gentle.」とまったく同じ意味・構造です。
あるいは、

  • Je l'aime parce qu'il est gentil.(彼は優しいので、私は彼が好きだ)
    parce que... は理由を表す接続詞句で「...なので」。

この文では、「Je l'aime」(私は彼が好きだ)が主節で、「parce qu'il est gentil」(彼は優しいので)が従属節です。
なお、関係代名詞の後ろ(関係代名詞も含む)のグループのことを「関係詞節」、「もし...」という意味の si で始まる節のことを「条件節」と呼びます。

従属接続詞(じゅうぞくせつぞくし) conjonction de subordination
従属接続詞とは、主節を 2 つ重ねる「等位接続詞」(et, ou など)とは異なり、従属節を形作り、従属節の先頭に置かれる接続詞のことです。上の「従属節」の項目の例文の「que」(英語の that)もその一つです。

従属接続詞句(じゅうぞくせつぞくしく) locution conjonctive de subordination
従属接続詞句とは、「句」の一種で、2語以上で 1語の従属接続詞と同じ働きをする言葉のグループのことです。「接続詞句」のほとんどは従属接続詞句です。

重文 (じゅうぶん) phrase de juxtaposition, phrase de coordination
重文とは、主語と動詞( S + V )を含む文が、コンマや等位接続詞を介して 2 つ(以上)つながってできた文のこと。例えば次のような文です。
  Le soleil brille, les oiseaux chantent.(太陽が輝き、鳥たちが歌う)
  Le soleil brille et les oiseaux chantent.(太陽が輝いて鳥たちが歌う)
ただし、フランス語の文法用語ではあまり「重文」という概念は使われず、あえていうなら前者(コンマだけを使って並べた文)を phrase de juxtaposition(併置文)、後者(等位接続詞を使って並べた文)を phrase de coordination(等位文)と呼ぶことがありますが、本講座では両者を合わせ、日本語文法や英文法でよく使われる「重文」という言葉で呼んでいます。

縮約(しゅくやく) contraction (de l'article)
縮約とは、前置詞 à または de が定冠詞 le または les とくっつくことを指します(「冠詞」のページの「前置詞と定冠詞の縮約形」を参照)。

受動的代名動詞(じゅどうてきだいめいどうし) verbe pronominal à sens passif
「受動的代名動詞」とは、「代名動詞」の下位区分として使われる用語で、再帰代名詞を使うことによって受身的な(つまり受動態と同じような)意味になるものを指します。本講座では、なるべくこの言葉は使用していません。「再帰代名詞」のページの「受身的」を参照してください。

準助動詞(じゅん じょどうし) semi-auxiliaire
厳密には助動詞と呼べるのは avoir と être だけで、この 2 つは過去分詞とセットで使われます。これとは区別して、pouvoir, vouloir, devoir などは後ろに不定詞がくるので、特に「準助動詞」と呼ぶことがあり、本講座でもこの用語を採用しています。後ろに「過去分詞」がくるか「不定詞」がくるかでは大違いだからです。また、代名詞にしたときに置く語順も、助動詞と準助動詞では異なります。
不定詞というのは、「~すること」という意味になる、いわば動詞が名詞化した形です。後ろに名詞がくるのなら、普通の動詞とあまり変わらないことになります。そのため、
  助動詞 < 準助動詞 < 本動詞
というように、準助動詞というのは助動詞と本動詞の中間的な存在だと捉えることもできると思います。
フランス語の文法用語では semi-auxiliaire なので、直訳して「半助動詞」と言う場合もあります。

状況補語(じょうきょうほご) complément circonstanciel
文の主要な要素は、主語(S)、動詞(V)、属詞(C)、直接目的(OD)、間接目的(OI)の 5 つで、それ以外の文の要素は、おおむね「状況補語」になります。文の副詞的要素で、「状況に応じて補う言葉」という意味です。構文上は重要ではないので、カッコに入れることができる、つけ足しの言葉です。通常は前に前置詞がつきます。例えば、
時を表す状況補語:
  depuis longtemps(ずっと前から)
  pendant un an(1年間)
場所を表す状況補語:
  sur la table(テーブルの上に)
  en Allemagne(ドイツで、ドイツへ)
その他、例えば理由を表す接続詞で始まる「副詞節」(=全体で 1 つの副詞と同じ働きをする、小さな S + V を含むグループ)なども、状況補語に含めることができます。
状況補語は、話題を切り出すために文頭に置いたり、文中に置くこともできますが、基本的には文末に置いたほうが自然な文になります。
関連するページ:6文型

条件節(じょうけんせつ) proposition conditionnelle
条件節とは、「もし...」という意味の si で始まる節(従属節)のことを指します。明らかに事実に反する仮定をするときは、主節では条件法を使用しますが、そうでなければ直説法を使用します。

譲歩(じょうほ) concession
文法用語で「譲歩」とは、「たとえ一『歩』(または百『歩』)『譲』ったとしても」というニュアンスを含む表現のことを指します。主に従属節で用いられ、主節は「やっぱり事情は変わらない」というような内容になります(具体例は次の「譲歩節」の項目を参照)。

譲歩節(じょうほせつ) proposition concessive ; concessive
譲歩節とは、「譲歩」(前項)の意味を表す従属節のこと。言い換えると、「主節の表わす事実との間に、期待されるはずの論理的関係が成り立たぬような事実を表わす従属節」(『新フランス文法事典』 p.136)のことです。
代表的なものに次のような表現があります。
1) 通常は仮定の「もし」を意味する接続詞 si が、「...であるにしても」という意味で使われる場合(si の後ろは直説法)。特に、熟語 même si...(たとえ... にしても [英語の even if に相当] )など。
2) si を使った非現実の仮定で「譲歩」の意味が加わり、「もし(たとえ仮に)... だったとしても」という意味になる場合(si の後ろは直説法半過去か直説法大過去)。
3) si ~ que S + V(いかに~であろうとも) などの「接続法による譲歩の熟語表現」(que の後ろは接続法)。

序数(じょすう) (nombre) ordinal
「番目の」を意味する言葉(数詞)。反対語の「基数」と対をなす概念です。具体的にはローマ数字のページを参照してください。

正書法(せいしょほう) orthographe
正書法とは「正しい綴り」のこと(フランス語の「オルトグラフ」の「オルト」はギリシア語で「正しい」、「グラフ」は「書くこと」を意味)。フランスでは 17 世紀にアカデミーフランセーズを中心としてフランス語を「美しい」言葉に「純化」させる運動が盛んになり、この過程で正書法の基礎が確立されたといえます。

性数の一致(せいすうのいっち) accord en genre et en nombre
性数の一致とは、名詞の性(男性か女性か)と数(単数か複数か)にあわせて、形容詞や過去分詞の形を変化させることを指します(主に過去分詞の一致に関して使われます)。
1) 形容詞については、「形容詞の性数の変化」を参照してください。
2) 過去分詞については、助動詞 avoir とセットになった場合については「過去分詞の性数の一致(avoir + p.p. の場合)」、助動詞 être とセットになった場合については「過去分詞の性数の一致(être + p.p. の場合)」を参照してください。
3) 過去分詞が助動詞とセットとしてではなく使われる場合(=直前の名詞にかかる場合、または分詞構文の場合)については、「分詞と分詞構文」のページの「性数の一致」を参照してください。

(せつ) proposition
単に「節」というと、普通は「従属節」のことを指します。「従属節」の項目を参照してください。

接続詞句 (せつぞくしく) locution conjonctive
接続詞句とは、「句」の一種で、「接続詞相当句」とも言い、2語以上で 1語の接続詞と同じ働きをする言葉のグループのこと。
例えば、
  parce que...(「...なので」、「なぜなら...」)
  tandis que...(「...なのに対し」、「それに対して...」)
などです。目的や譲歩などを表す表現では、後ろが接続法になることが多くなります(接続法になるかならないかは、個別の表現によって決められています)。
これらのほとんどは、従属節を構成するので、詳しく言えば「従属接続詞句」です。

絶対的用法(ぜったいてきようほう) emploi absolu
「他動詞の絶対的用法」とは、他動詞なのに目的語を省略する使い方のことです。一般に、目的語を伴うことで、動詞の意味は限定されます(いわば相対的なものになります)。動詞のもつ意味すべてを表現したいときは、例外的に目的語が省略されます(「6文型」のページの「他動詞の絶対的用法」の説明も参照)。ただし、「絶対的用法」という用語は、必ずしも広く使われているわけではなく、単に「目的語の省略」と呼ぶことが多いかもしれません。

絶対分詞節(ぜったいぶんしせつ) proposition participiale absolue
「絶対分詞節」とは、「絶対分詞構文」の従属節の部分だけを指す言葉です。
なお「分詞節」という呼び方については「分詞節」の項目を参照してください。

接頭語(せっとうご) préfixe
接頭語とは、基本動詞の単語の最初の部分について、派生した動詞を作り出す単語の要素のこと。例えば re(再び)という接頭語が venir(来る)につくと revenir(再び来る、戻ってくる)となります。
「動詞の活用編」の「不規則動詞の調べ方」の「接頭語を省いて考える」の項を参照してください。

セディーユ cédille
セディーユとは、「アクサン」の一種で、 c の下につけるヒゲのような記号のこと。 ç の 1 文字だけです。
セディーユは「カ行」ではなく「サ行」で読ませるための印です。
ca, cu, co は普通は「カ、キュ、コ」と読みますが、セディーユをつけて ça, çu, ço とすると「サ、スュ、ソ」と読みます。

セミコロン point-virgule
ポワンヴィルギュルを参照してください。

先行詞(せんこうし) antécédent
先行詞とは、関係詞節係る関係詞節によって修飾される)言葉のことで、関係代名詞の直前の名詞のことです。名詞の前に冠詞がついていたら、冠詞も含めて先行詞と捉えます。
ただし、「前置詞つき関係代名詞」の場合は、前置詞の前の(冠詞+)名詞(のグループ)になります。
関連するページ:関係代名詞

前置詞(ぜんちし) préposition
ヨーロッパ各国語には前置詞があります。日本語の「助詞」に相当します。
「前置詞」のページ

前置詞句(ぜんちしく) locution prépositive
前置詞句とは、「句」の一種で、「前置詞相当句」とも言い、2語以上で 1語の前置詞と同じ働きをする言葉のグループのこと。
例えば、
  à côté de ~(~の脇に、~の近くに)
  en face de ~(~の正面に)
  au lieu de ~(~の代わりに)
  à cause de ~(~が原因で)
などです。このように「前置詞+(冠詞+)名詞+de」という構成が多く見られます。

相互的代名動詞(そうごてきだいめいどうし) verbe pronominal réciproque
「相互的代名動詞」とは、「代名動詞」の下位区分として使われる用語で、再帰代名詞が「互いに」という意味になるものを指します。本講座では、なるべくこの言葉は使用していません。「再帰代名詞」のページの「相互的」を参照してください。

属詞(ぞくし) attribut
「属詞」とは、フランス語特有の文法用語で、「付する性質を表す言葉」という意味です。基本的には形容詞です。第 2、第 6文型で出てきます。第 2文型では属詞は「主語(S)」とイコールになりますが、第 6文型では「直接目的(OD)」とイコールになります。
「属詞」はフランス語で「Attribut」と言うので、フランスでは略号は一般に「A」が使用され、例えば第 2文型は「S + V + A」と説明されます。日本でフランス語文法を説明する場合は、属詞は「A」と略される場合と「C」と略される場合があります。何でもフランス語風にするのであれば、例えば直接目的は complément d'objet direct の頭文字をとって「COD」と略し、第 3文型は「S + V + COD」としなければならなくなります。これだと、英語で文型を習った人が直感的に理解しにくくなります。
本ホームページでは、「属詞」の略号は英語流に「C」を使用しています。その理由は、1) 英語と比較しやすくすることで、逆に英語とフランス語の違いを明確化できるようにするため、2) 覚えなければならない文法用語の数を減らすため、3) 例えば donner A à B というときの「A」との混同を避けるため、などです。要は、文の構造をしっかり把握できれば「A」でも「C」でも構わないと思います。
なお、「attribut」というのは、神学・哲学の「属性」に通じる言葉です。それに引きつけて言うなら、神が創造の主体としての「主語」、人間などの被創造物は「(直接)目的語」という関係だといえるかもしれません。

た行

(たい)
「態」とは、主語が動作の主体となるのか、動作の受け手となるのかを示す概念のことで、「能動態」と「受動態」があります(この他、「代名態」については voix の項目を参照)。

第一群規則動詞(だいいちぐんきそくどうし)
「er(ウーエル)動詞」とも言います。規則動詞の項を参照してください。

体言止め(たいげんどめ)
日本語文法で「体言」とは「名詞」を指し、「体言止め」とは、文を名詞で終えることをいいます。フランス語でも、「倒置」によって文の最後を名詞で終えるようにすると引き締まった感じになります。

第二群規則動詞(だいにぐんきそくどうし)
「ir(イーエル)動詞」とも言います。規則動詞の項を参照してください。

代名動詞(だいめいどうし) verbe pronominal
代名動詞とは、再帰代名詞のついた動詞のことですが、本講座では、できる限り再帰代名詞と動詞とを分けて考えることをお勧めしています。その理由は、
1. あえて「自分」と訳して、直接目的なのか間接目的なのかを区別して分析的に考えたほうが、文法力・構文把握力が向上する
2. 辞書の se がついた項目には、よく使われる意味しか載っておらず、結局は se を省いた動詞の意味と再帰代名詞とに分けて考えないと意味を取れない場合が出てくる
からです。
「代名動詞」は、一般に、再帰的代名動詞受動的代名動詞相互的代名動詞本質的代名動詞の 4 つほどに分類されます(本講座では、なるべくこれらの用語は使用していません)。

脱落性の e(だつらくせいのウー) e caduc
「無音の e」(e muet)と同じ。

単純過去(たんじゅんかこ) passé simple
フランス語で passé simple と言います。「単純時制」による過去という意味です。フランス語には 5 種類の過去がありますが、単純時制による過去は、この単純過去だけです。「今の状態とは無関係に、単純に過去の出来事を述べる」ときに使います。詳しくは「直説法の 8 時制」のページの単純過去の項目を参照してください。

単純時制(たんじゅんじせい) temps simple
「単純時制」とは、助動詞を使わずに、本動詞の語尾を変化させて 1 語だけで作る時制のことで、フランス語では temps simple と言います。
「単純過去」や「単純未来」の「単純」も、本当は「単純な過去」や「単純な未来」という意味の「単純」ではなく、「1 語だけで作る」という意味です。反対語は「複合時制」。

単複同形(たんぷくどうけい)
単複同形とは、もともと単数形で語尾が s や x で終わる名詞・形容詞が、複数形でも同じ形になることをいいます。

知覚動詞(ちかくどうし)
知覚動詞とは、voir(見る)、regarder(見つめる)、entendre(聞く)、écouter(聴く)、sentir(感じる)などの知覚を表す動詞のことで、後ろに不定詞がくると「~するのを見る・見つめる・聞く・聴く・感じる」という意味になります。たとえば、
  J'entends chanter ma femme.(私は私の妻が歌うのを聞く)
という文の場合、「ma femme」(私の妻)は「chanter」(歌う)の意味上の主語となっており、「entends」(entendreの現在1人称単数)は「知覚動詞」として使われています。語順は「chanter」と「ma femme」を逆にして
  J'entends ma femme chanter.
とすることもでき、2通りの語順が可能です。どちらの文も、「ma femme」を代名詞に置き換えると、代名詞は知覚動詞の前にきて
  Je l'entends chanter.
となります。
  ⇒ 他の例文(ラ・マルセイエーズ)
知覚動詞は「使役動詞」に似ています。
知覚動詞は「準助動詞」にも似ていますが、代名詞にしたときに置く語順は異なります。

中断符(ちゅうだんふ) points de suspension
中断符とは、最後まで言わずに途中で省略するときなどに使われる、ピリオドを 3 つ並べた記号「...」のこと。日本語では伝統的には真ん中の高さに点を 6 個並べた「……」が使われます。

直接疑問(ちょくせつぎもん) interrogation directe
直接疑問とは、文頭に疑問詞がきて、文末に疑問符( ? )がつく疑問文のことです。反対語は「間接疑問」。

直説法(ちょくせつほう) indicatif
「法」の一種。日本語で漢字で書く場合、「直法」ではないので注意してください。これは「じかに(つまりストレートに)く法」だからだ、などと説明されます。「直説法とは何か」については「3 つの法の比較」を参照してください。直説法には 8 つの時制があります

直接目的語(ちょくせつもくてきご) objet direct
直接目的語とは、「動詞の目的語となっていて、前に前置詞がついていない」言葉のことです。本講座では単に「直接目的」とも言っています。フランス語では「objet direct」なので「OD」と略します。訳すと「~を」となる場合が多いですが、もちろんそうでない場合もたくさんあります。「6文型」のページでは、直接目的と間接目的を区別することの重要性について説明しています。
なお参考書によっては「直接目的補語」(complément d'objet direct)と呼ぶこともあり、語学的には正しいのですが、「補語」という表現は漠然と広い範囲を指し、また英語とフランス語では「補語」という言葉が意味するものが異なるので、混乱を避けるために、本講座では「直接目的補語」という言い方は採用していません。

直接話法(ちょくせつわほう) discours direct
直接話法とは、間接話法の反対で、引用符(ギユメ)を使って、人が言った文をそのまま引用する言い方のことです。

ティレ(ダッシュ) tiret
「ティレ」とは、英語の「ダッシュ」に相当する、マイナスに似た記号のこと。会話を直接話法で書き写す場合に、話し手が交代することを示すために入れたり、地の文で前言を訂正したり言いよどんだりする場合、または前後に挟んだ部分が挿入句であることを示す場合に使われます。
記号の形は「トレデュニオン(ハイフン)」に似ています。

転位(てんい) dislocation
「遊離」と同じ意味です(フランス語の文法用語 dislocation の訳語として、朝倉『フランス文法事典』の旧版では「遊離」という用語が使われ、この用語で広まっていると思いますが、新版では「転位」という用語が使われています)。

等位(とうい) coordination
等位接続詞を使って文や文の要素を並べることです。「並列」の項目も参照してください。

等位接続詞(とういせつぞくし) conjonction de coordination, coordonnant
等位接続詞とは、2 つ(以上)の文を、対等な関係で(どちらか片方を従属節にすることなく)つなげる接続詞のことです。代表的なのは et(そして)と ou(または)。反対語は従属接続詞

同格(どうかく) apposition
同格とは、文の中で同じ資格で言葉を置くことを意味します。同格になった 2 つの言葉の間には、意味的にイコール関係が成り立ちます。
一番単純なのは、2 つの名詞が前後に並んで置かれた場合です(後ろの名詞が「前の名詞と同格」になります)。この場合、典型的には 2 つの名詞の間にコンマを打ち、コンマの後ろの名詞が無冠詞になります
少し難しいのは、名詞、形容詞、分詞節などが「主語と同格」になる場合です。この場合、同格となる言葉(名詞、形容詞、分詞節など)は比較的自由な位置に置くことができ、文頭・文中・文末のいずれの位置にもきます。特徴は、同格となる言葉を抜かしても、文法的に文として成り立つことです。「主語と同格」の場合は、その部分を主節の主語に掛けて訳すと自然になることが多いと思います。

動詞句(どうしく) locution verbale
動詞句とは、「句」の一種で、「動詞相当句」とも言い、2語以上が集まって 1語の動詞と同じ働きをする、一種の熟語のこと。
例えば、 avoir envie de ~(~したい)などです(=原義は「~するという欲求を持つ」)。一種の熟語なので、名詞が含まれる場合は、多くは無冠詞になります(この例でも envie は無冠詞)。

ドゥポワン deux-points
「:」という記号のこと。英語のコロンに相当します。フランス語で deux-points と書きますが、これは文字通り「 2 つの点」という意味です。
同格・言い換え・説明を追加する場合によく用いられ、「つまり」「すなわち」と訳すとぴったりくる場合が多いと思いますが、特に訳さないほうが自然な場合もあります。
英語のセミコロンに相当する point-virgule(ポワンヴィルギュル、記号「;」)とは別です。
なお、英語だと「:」の前はスペースを空けないようですが、フランス語では半角スペースを入れるのが普通です(ただし、特にインターネットでは、禁則処理の関係からスペースを空けないこともあります)。

動名詞(どうめいし)
フランス語には「動名詞」は存在しません。
動詞の名詞的用法(「~すること」)なら不定詞を使います。
例えば、「百聞は一見に如かず」に相当する諺を、英語では
  Seeing is believing.(見ることは信じることだ)
と「動名詞」を使って言いますが、この英語の諺のフランス語訳は、次のように「不定詞」を使って表現します。
  Voir, c'est croire.(見ること、それは信じることだ)

独立分詞構文(どくりつぶんしこうぶん)
英語の「独立分詞構文」は、フランス語では通常は「絶対分詞節」という言葉を使って説明されます。文の構造は同じです。

トレデュニオン(ハイフン) trait-d’union
「トレデュニオン」とは、英語の「ハイフン」とまったく同じで、フランス語の「trait-d’union」をそのままカタカナにした言葉。「trait」は「線」、「union」は「結合」。逐語訳すると「結合の線」。
英語の「ハイフン」とまったく同じものを指し、ことさらフランス語で呼ぶ意味・必要性がないと思われるため、本講座では主に「ハイフン」と呼んでいます。
文法的には、特に疑問文命令形でよく使われます。
記号の形は「ティレ(ダッシュ)」に似ています。

トレデュニオンが名前(ファーストネーム)に含まれる場合
フランスで子供が生まれると、伝統的にはキリスト教の聖人(または歴史的に有名な古代人)の名をファーストネームにつけるのが一般的です。たとえば Jean(ジャン)は聖書に出てくる「ヨハネ」に相当し、Jacques(ジャック)は同じく「ヤコブ」に通じる名前です。ただし、祖父母や名づけ親の名前を受け継ぐなどして、一人で2つの名前を持つこともあり、その場合はトレデュニオン(ハイフン)を入れて Jean-Jacques のように書く決まりになっています。このトレデュニオンを訳す場合は、数学の「イコール」を短くした記号を使うのが日本での翻訳上の慣例となっており、「ジャン=ジャック」のように表記します。正確に言えば、全角(=)と半角(=)の中間ぐらいかもしれませんが、どちらかを選ばなければならないとしたら半角にすべきだと思います(最近は全角の「イコール」を使うケースも見かけますが、少なくとも伝統的な表記に慣れたフランス文学関係者にとっては大いに違和感を感じるところだと思います)。たとえば18世紀の思想家 Jean-Jacques Rousseau は日本語では「ジャン=ジャック・ルソー」と表記します(ジャン=ジャックが名、ルソーが姓)。「・」の記号は原則として名と姓の間に入れるのが慣例なので、「ジャン・ジャック・ルソー」と書くのは変です(ちなみに、フランス人の名前には「ミドルネーム」はありません)。なお、日本語が達者なフランス人の中には、こうした日本流の表記方法に違和感を覚え、フランス語と同様に一重のハイフンで結んで「ジャン-ジャック」のように書くのを好む人もいます。

トレマ tréma
トレマとは、「アクサン」の一種で、 i, u, e の上につける小さな2つの点の記号のこと。 ï, ü, ë の 3 種類あります。 i の場合は、もともとある i の上の点を省いて、小さな2つの点を左右対称につけます。
トレマは、「直前の母音とくっつけずに、切り離して発音する」ことを意味します。
たとえば形容詞 naïf は「無邪気な」という意味で、トレマがなければ ai は「エ」と発音するので「ネフ」と読んでしまうところですが、トレマがあるので切り離して「ナイフ」と読みます(この女性形は naïve で「ナイーヴ」と発音し、これが英語に入り、「ナイーブな」という日本語になっています)。
あるいは「クリスマス」を意味する Noël は、トレマがなければ o と e をくっつけた œ の発音で読んでしまうところですが、トレマがあるので切り離して「ノエル」と読みます(「ノエル」は一部で日本語にも入っています)。
あるいは、日本の「盆栽」は海外にも輸出されていて、「ボンサイ」という言葉は日本語に由来する外来語として各国語に定着していますが、フランス語の場合は bonsai と綴ると ai は「エ」と発音するので「ボンセ」と発音されてしまいます。これを避けるために、i の上をトレマにして bonsaï と書きます。
⇒ その他の例(発音のページの oï について)
なお、形の上では「トレマ」はドイツ語の「ウムラウト」と同じですが、フランス語には ö は存在せず、代わりにドイツ語にはない ï があります。

な行

人称(にんしょう) personne
1人称、2人称、3人称の3種類があります。
「1人称」とは、「私」「ぼく」「おれ」。つまり話している本人のこと。
「2人称」とは、「あなた」「君」「おまえ」。つまり(目の前にいる)話しかけている相手のこと。
それ以外のすべての人と物は「3人称」なので、圧倒的に3人称が多いことになります。
人称代名詞では、3人称の場合だけ男性・女性と直接目的・間接目的を区別します。これにより、かなり指すものが絞られることになります。

は行

ハイフン trait-d’union
「トレデュニオン」の項を参照してください。
関連するページ:疑問文命令形

半助動詞(はんじょどうし)
準助動詞」と同じ。

鼻母音(びぼいん) voyelle nasale
「鼻母音」とは、口から息を出しながら、同時に鼻に抜けるようにして出す「母音」のこと。具体的には、「発音」のページの鼻母音についての項目を参照してください。

品質形容詞(ひんしつけいようし) adjectif qualificatif
「品質形容詞」とは、例えば blanc(白い)、petit(小さい)、beau(美しい)など、要するに普通の形容詞のことです。この用語を使わなくても文法は説明できるので、本講座ではこの用語は使用していません。「品質形容詞」以外の形容詞のことを「限定形容詞」と呼ぶことがあります。

付加形容詞(ふかけいようし) épithète
付加形容詞とは、「付加的用法」をしている形容詞のこと。ただし、「付加形容詞」という種類の形容詞が存在するわけではなく、どの形容詞でも使われる一つの「用法」であるので、本講座では「付加的用法」という言葉を使っています。

付加的用法(ふかてきようほう) emploi comme épithète
形容詞には、基本的に次の 2 つの用法があります。
  前(または後ろ)の名詞に係る「付加的用法」(英語の限定用法)
  属詞になる「属詞的用法」(英語の叙述用法)
例文は、「形容詞」のページの「形容詞の用法」を参照してください。

不規則動詞(ふきそくどうし) verbe irrégulier
不規則動詞とは、規則動詞(第 1 群規則動詞と第 2 群規則動詞)を除く動詞のこと。「動詞の活用編」(主な不規則動詞の直説法現在)を参照してください。

複合過去(ふくごうかこ) passé composé
フランス語で passé composé と言います。「複合時制」による過去という意味です。
詳しくは「直説法の8時制」のページの複合過去の項目を参照してください。

複合時制(ふくごうじせい) temps composé
「複合時制」とは、助動詞と本動詞の 2 語を組み合わせて作る時制のことで、フランス語では temps composé と言います。
「複合 (composé)」とは「組み合わせた」という意味です。「複合過去」の「複合」も、「2 語を組み合わせて作る」という意味です。反対語は「単純時制」。

副詞句(ふくしく) locution adverbiale
副詞句とは、「句」の一種で、「副詞相当句」とも言い、2語以上集まって全体で 1語の副詞に相当するまとまりのこと。

副詞節(ふくしせつ) proposition adverbiale
副詞節とは、「小さな主語(S)と動詞(V)を含むグループ」(=節)が、文全体の中で一つの副詞と同じ役割を果たすものを指します。

不定形容詞(ふていけいようし) adjectif indéfini
不定形容詞とは、漠然と人や物を指し示す形容詞のこと。と言っても、この定義自体が漠然としていますが、具体的には
  certain(ある、ある種の、いくつかの)〔英語 certain 〕
  chaque(各々の、各~)〔英語 each 〕
  tout(すべての)〔英語 all 〕
  même (同じ)〔英語 same 〕
  aucun(いかなる~も)〔英語 any 〕
などがあります。いずれも、原則として名詞の前に置き、少し特殊な使い方をする、重要な形容詞です。

不定詞、不定形(ふていし、ふていけい) infinitif
英語の「動詞の原形」のことを、フランス語の文法用語では「不定詞」「不定形」「不定法」と呼びます。少し捉え方が異なるだけで、どれも同じものを指します。フランス語では「infinitif」と言い、略号は「inf.」。動詞が「活用」していない状態のことです。
英語では to をつけて言う場合が多いようですが、フランス語では(de をつけることもありますが)基本的に不定詞だけで「~すること」という意味になります(この de の有無については「前置詞」のページを参照)。本ページの「動名詞」の項目も参照してください。
関連するページ:助動詞

不定代名詞(ふていだいめいし) pronom indéfini
不定代名詞とは、漠然と人や物を指し示す代名詞のこと。といっても、この定義自体、漠然としていますが、具体的には、
  on(人は)
  quelque chose(何か)〔英語 something 〕
  rien(何も...ない)
  personne(誰も...ない)
などがあります。

部分否定、全部否定(ぶぶんひてい、ぜんぶひてい)
「すべて」tout という言葉(またはそれに類する tout le monde(全員)などの言葉)を ne... pas で否定すると、「すべて(の~)が……というわけではない(とは限らない)」という「部分否定」の意味になります。
たとえば、
 Tout est parfait. すべてが完璧だ。
ne... pas で否定すると、
 Tout n'est pas parfait. すべてが完璧というわけではない。
となり、これで「完璧ではない部分もあり、改善の余地も残されている」というニュアンスになります。
これに対して、「すべてが不完全だ」という「全部否定」にするには、tout は使わず、英語の nothing に相当する ne... rien を使って、
 Rien n'est parfait. 完璧なものは何もない。
のようにします。これで「完璧なものは何一つない、どれもこれも不完全だ」という感じになります。その他、aucun... nene... personne なども全部否定になります。
(注記:「部分否定」と「全部否定」は、英文法ではよく使われる概念で、日本人にとってもおなじみですが、実はフランスで文法を説明するときにはあまり使われず、使われるとしても違った意味で使われることが多いようです。しかし、便利な概念なので、ここでは英文法などでおなじみの意味で使っています)

(ぶん) phrase
大文字で始まり、主語(S)と動詞(V)を備え、ピリオドで終わるまとまりを「文」と呼びます。日本語では主語を明示しなくても文は成り立ちますが、フランス語では必ず主語が必要です。主語が曖昧な場合でも、あまり意味のない on (人は)を主語に据え、形式上は主語のある形にします。「文」でありがら主語がないのは、命令文(および一部の感嘆文など)だけです。

分詞(ぶんし) participe
フランス語には「現在分詞」と「過去分詞」があります。
作り方については「動詞の活用編」の該当箇所を参照してください。
過去分詞には次の 2 つの用法があります。
1. 助動詞(avoir または être)とセットで、複合時制または受動態を形作る(「助動詞」のページを参照)。
2. 単独で使って、形容詞的に前の名詞に係るか、または分詞構文になる(「分詞」のページを参照)。
現在分詞はこの「2.」の用法(単独で使う用法)しかありません。そのため、過去分詞のほうが頻繁に使われます。
なお「分詞」という文法用語はフランス語では participe と言いますが、これはもともと participer à (~に関与する)という動詞からできた言葉です。分詞は、単独で(つまり助動詞とセットではなく)使用して前の名詞に係る場合に、動詞でありながら形容詞的に名詞を修飾するので、動詞と形容詞の両方の性格に「関与」している、ということから名づけられました。動詞と形容詞の両方の性格を「分」かち持つ「詞(ことば)」、という意味です。

分詞節 (ぶんしせつ) proposition participe
分詞構文の従属節の部分だけを取り出して「分詞節」と呼ぶこともあります。
たとえば、「分詞と分詞構文」のページの「分詞構文の形と意味」の項目の冒頭で取り上げた例文でいうと、「détruite par la guerre」の部分が「分詞節」に相当します。
ただし、本講座ではなるべく英語で慣れ親しんだ「分詞構文」という言葉を使っています。

併置 (へいち) juxtaposition
「接続詞を使わずに(主にコンマを挟んで)語、語群、節を併置すること」を意味します。次の「並列」の項も参照してください。

並列 (へいれつ) coordination, juxtaposition
典型的には et (そして)などの等位接続詞を使って文や文の要素を並べること。
et を使って文の要素を並べる場合は、et の前後には同じような物がきます。普通は、片方が名詞なら他方も名詞になり、片方が「de + 不定詞」なら他方も「de + 不定詞」になります。当たり前のようですが、複雑な文を正確に読み解く場合には、これが決め手となることが少なくありません。
なお、正確な文法用語では、等位接続詞を使って文や文の要素を並べることを「等位」(coordination)と呼び、接続詞なしで語・語群・節を並べることを「併置」(juxtaposition)と呼んで区別しますが、本講座では両者を合わせて「並列」と呼んでいます。

母音 (ぼいん) voyelle
「母音」とは、簡単にいえば「ア、イ、ウ、エ、オ」の音のこと。「鼻母音」も母音の一種です。
綴りを主眼として見た場合は「母音字」という言い方をすることがあり、この場合は a, i, u, e, o, y などの字を指します。

(ほう) mode
「法」とは、「叙法」とも言い、物事を叙述する時の話者の「心的態度を示す動詞の形態」(朝倉)であると定義されますが、なかなか理解しにくいところです。
実際には、「直説法」(事実を述べる)、「条件法」(事実に反することを述べる)、「接続法」(事実か事実に反するかの判断を保留しながら述べる)の 3 つの違いを理解する必要があります。「3 つの法の比較」を参照してください。
その他、命令文で使われる「命令形」のことを「命令法」、動詞を名詞化する「不定詞」のことを「不定法」、動詞を形容詞化する「分詞」のことを「分詞法」(=「分詞と分詞構文」のページで取り上げている内容に相当)と呼ぶこともあります。

法としての条件法 (ほうとしてのじょうけんほう) conditionnel modal
「叙法としての条件法」「叙法的用法」などともいいます。「時制の一致」によって条件法になっている場合(=「時制としての条件法」)を除く理由によって使われる条件法の用法を指します。具体的には、「非現実の仮定」や「語調緩和」などがあります。詳しくは「条件法」のページを参照してください。

補語 (ほご) complément
参考書によっては「直接目的語」のことを「直接目的補語」、「間接目的語」のことを「間接目的補語」と呼ぶこともあり、これはフランス語の文法用語の直訳としては正しいのですが、「補語」という表現は漠然と広い範囲を指し、また英語とフランス語では「補語」という言葉が意味するものが異なるので、混乱を避けるために、本講座では「状況補語」と言う場合のみ「補語」という言葉を使用し、それ以外では「補語」という言葉は使っていません。
なお、英語で第 2 文型の S + V + C の C のことを「補語」と言いますが、フランス語では第 2 文型の C は「属詞」と呼びます。

ポワンヴィルギュル point-virgule
「;」という記号を指します。フランス語の point(ポワン)は英語のピリオドに相当し、virgule(ヴィルギュル)は英語のコンマに相当しますが、その中間の point-virgule(ポワンヴィルギュル)は英語のセミコロンに相当します。
フランス語では、ピリオドとコンマの中間ぐらいの切れ具合を示します。日本語に訳す時は「、」(読点)よりも「。」(句点)のほうがぴったりくる場合が多いはずです。
英語のコロンに相当する deux-points (ドゥポワン)、つまり「:」という記号とは別です。
なお、英語だと「;」の前はスペースを空けないようですが、フランス語では半角スペースを入れる方が多いようです(ただし、特にインターネットでは、禁則処理の関係からスペースを空けないこともあります)。

本質的代名動詞 (ほんしつてきだいめいどうし) verbe essentiellement pronominal
「本質的代名動詞」とは、「代名動詞」の下位区分として使われる用語で、再帰代名詞とセットでしか使われない動詞のこと。本講座では、なるべくこの言葉は使用していません。「熟語的」と捉えることもできます(「再帰代名詞」のページの「熟語的」を参照)。

本動詞 (ほんどうし)
本動詞とは、助動詞や準助動詞のように補助的な意味を添える動詞ではなく、意味的にメインとなる動詞のこと。例えば、
  Je veux lire ce livre. (私はその本を読みたい)〔英訳: I want to read this book.〕
であれば、vouloir の現在 1人称単数の「veux (~したい)」が準助動詞、「lire (読む)」が本動詞です。
また、普通は助動詞や準助動詞として使われる動詞が、「本動詞として」使われることもあります。例えば、
  Je veux ce livre. (私はその本が欲しい)〔英訳: I want this book.〕
この場合は vouloir の現在 1人称単数の「veux」は、「欲する」という本動詞(他動詞)として使われています。

ま行

未完了 (みかんりょう) imparfait
半過去」のことを「未完了形」「未完了過去」と呼ぶ人もいます。たしかにフランス語では「imparfait」と言うので、直訳すれば「未完了」です。しかし、日本では伝統的に「半過去」として教えられ、ほとんどすべての辞書で「半過去」という用語が使われている以上、他の用語を使用するのは混乱のもとだと思い、本講座では「半過去」としています。他の用語についても、なるべく伝統的に用いられている用語を使用しているつもりです。

無音の e(むおんのウー) e muet
「無音の e」とは、フランス語の単語に含まれる(ほとんど)発音しない e のこと。別名「脱落性の e」(e caduc)。要するに「発音」のページに記載している「語末の -e 」「後ろに子音字が 1つしかない単語の中の e 」のことです。
同じ単語でも、状況によって「無音の e」を発音したり発音しなかったりします。たとえば、くだけた会話では発音しない(=脱落する)ことが多く、丁寧に発音したり、ゆっくり強調して発音するときは e を軽く「ウ」と発音することが多くなります。
詩の朗読では原則として「無音の e」を発音します。「無音の e」は音節の区切り方でも問題となります(「音節」の項を参照)。

無音の h (むおんのアッシュ) h muet
h はフランス語のアルファベットの読み方では「エッチ」ではなく「アッシュ」と発音します。
フランス語には「有音の h 」と「無音の h 」の 2 種類の h(アッシュ)があります。両者の区別は、「h で始まる単語を直前の単語とつなげて読むかどうか」という点に関して問題となります。
少し難しい言い方をすれば、「無音の h とは、直前の単語とのリエゾンアンシェヌマンエリジヨンを妨げない h のことである」と定義することができます。
言い換えると、「無音の h 」で始まる単語は、直前の単語とくっつけて発音できる場合は(つまり「リエゾン」「アンシェヌマン」「エリジヨン」できる場合は)くっつけて発音します。
たとえば、「男、人」という意味の男性名詞 homme は、単独で発音すると「オム」ですが、この単語の冒頭の h は「無音の h 」なので、その前に le (定冠詞の男性単数)がつくと、
  × le homme (×「ル オム」)
ではなく、
  l'homme (「ロム」)
というように、くっつけて発音します(この場合は「エリジヨン」)。
有音の h 」か「無音の h 」かは単語によって決まっているので、個別に覚えるしかありません。
反対語は「有音の h 」です。ただし、どのような場合でも(「無音の h 」であろうと「有音の h 」であろうと)、フランス語では h という綴り自体は一切発音しません。

名詞節 (めいしせつ) proposition nominale
名詞節とは、「小さな主語(S)と動詞(V)を含むグループ」(=節)が、文全体の中で一つの名詞と同じ役割を果たすものを指します。

目的格 (もくてきかく)
「主格」や「目的格」といった言葉を使って説明する人も若干いますが、ラテン語やドイツ語と違ってフランス語には「格変化」や「格支配」は存在せず、「格」という用語は誤解のもとになると思い、本講座では採用していません。

目的語(もくてきご) objet
英語と違って、フランス語では直接目的と間接目的が厳密に区別されるため、単に「目的語」という表現で説明のつくケースは多くはありません。
上記「直接目的語」または「間接目的語」の項目を参照してください。

目的補語(もくてきほご) complément d'objet
目的補語とは、フランス語では complément d'objet と言い、「目的語」と同じです(同じ概念です)。フランス語では「目的補語」と呼ばれることが多いのですが、英語では「目的語」というほうが多いので、本講座ではわかりやすい「目的語」という言葉を使っています。

や行

有音の h (ゆうおんのアッシュ) h aspiré
h はフランス語のアルファベットの読み方では「エッチ」ではなく「アッシュ」と発音します。
フランス語には「有音の h 」と「無音の h 」の 2 種類の h(アッシュ)があります。「有音の h 」というのは誤解を招きやすい表現ですが、これは「 h を発音する」という意味ではありません。そもそも、どのような場合でも(「有音の h 」であろうと「無音の h 」であろうと)フランス語では h という綴り自体は原則として一切発音しません。
「有音の h 」と「無音の h 」の区別は、「h で始まる単語を直前の単語とつなげて読むかどうか」という点に関して問題となります。
少し難しい言い方をすれば、「有音の h とは、直前の単語とのリエゾンアンシェヌマンエリジヨンを妨げる h のことである」と定義することができます。
言い換えると、「有音の h 」で始まる単語は、直前の単語とくっつけずに(つまり「リエゾン」「アンシェヌマン」「エリジヨン」をせずに)切り離して発音します。
たとえば、「英雄、ヒーロー」を意味する男性名詞 héro は、単独で発音すると「エロ」ですが、この単語の冒頭の h は「有音の h 」なので、その前に le (定冠詞の男性単数)がついても、
  le héro (「ル エロ」)
のままであり、
  × l'héro (×「レロ」)
とはなりません。「有音の h 」か「無音の h 」かは単語によって決まっているので、個別に覚えるしかありません。
なお、フランス語には「ハ」という音は存在せず、本来はフランス人は「ハ」行を発音することができません。英語などの外国語が上手なフランス人なら自然に発音できますが、そうでなければ、無理に発音しようとすると大きく息を吸って「ハッ、ハッ」という感じになってしまいます。ハハハ...

遊離(ゆうり) dislocation
詳しい説明は「遊離」の項目を参照してください(「転位」と呼ぶこともあります)。

ら行

リエゾン liaison
「リエゾン」とは、もともと「関係、結びつき、連結」などを意味する言葉で、「次に母音で始まる単語がきた時に、単独では発音しない単語末尾の子音(主に s, x, t, d)を、次の母音とつなげて発音すること」を意味します。
このとき、 s と x は濁って「z」と発音し、 t と d は濁らずに「t」と発音します。
例えば、英語の you are (あなたは~である)に相当する
  vous êtes
の場合、個別に発音すると vous は「ヴー」、êtes は「エットゥ」ですが、vous の後ろに ê という母音がきているので、 s を濁りながら次の母音と続けて、「ヴーゼットゥ」と発音します。この現象のことを「リエゾン」と呼びます。
ちなみに、もともと発音する単語末尾の子音を、単に次の母音とつなげて発音する現象のことを「アンシェヌマン」と呼びます。

歴史的現在(れきしてきげんざい) présent historique ; présent narratif
歴史的現在とは、過去の出来事を表すのに、あえて使われる現在形のこと(英語と同様)。あたかも目の前で今、出来事が繰り広げられているような印象(つまり臨場感)を与え、読者の注意を惹きつける効果があります。

ローマ数字(ろーますうじ) chiffre romain
現在ふつうに使われる 1, 2, 3, 4... という表記はアラビア数字で、これとは別に I, II, III, IV... と表記する数字の書き方のことを「ローマ数字」と呼びます。詳しくは「ローマ数字」のページを参照してください。



アルファベット

A
属詞」を表す記号としてフランスでは一般に「A」を使用しますが、本講座では英語流に「C」を使用しています。その理由については、「属詞」の項目を参照してください。

accent
アクサン」を意味するフランス語の文法用語。具体的には、
  accent aigu (アクサン テギュ
  accent grave (アクサン グラーヴ
  accent circonflexe (アクサン シルコンフレクス
  tréma (トレマ
  cédille (セディーユ
があります。

accord en genre et en nombre
性数の一致」を意味するフランス語の文法用語(genre (性)nombre (数)の項目も参照)。
「過去分詞の性数の一致」なら accord en genre et en nombre du participe passé と言います。

adj.
「形容詞」を意味するフランス語の文法用語 adjectif の略。

adjectif
「形容詞」を意味するフランス語の文法用語。 adj. と略されます。

adjectif déterminatif
限定形容詞」を意味するフランス語の文法用語。

adjectif indéfini
不定形容詞」を意味するフランス語の文法用語。

adjectif interrogative
疑問形容詞」(具体的には quel)を意味するフランス語の文法用語。

adjectif qualificatif
品質形容詞」を意味するフランス語の文法用語。

adv.
「副詞」を意味するフランス語の文法用語 adverbe の略。

adverbe
「副詞」を意味するフランス語の文法用語。 adv. と略されます。

adverbe relatif
関係副詞」を意味するフランス語の文法用語。

antécédent
「前に置かれたもの」というのが語源的な意味。「前に置かれた、あとで代名詞(等)によって置き換えられる言葉」を意味します。
特に、関係代名詞とセットで使われた場合の「先行詞」を意味します。

antéposé
形容詞の「付加的用法」において、形容詞を名詞の「前に置く」ことを意味するフランス語の文法用語(反対語は postposé)。

antonyme
「反対語、対義語」。この反対語は synonyme

apposition
同格」を意味するフランス語の文法用語。

article défini
定冠詞」を意味するフランス語の文法用語。

article indéfini
不定冠詞」を意味するフランス語の文法用語。

article partitif
部分冠詞」を意味するフランス語の文法用語。

auxiliaire
助動詞」を意味するフランス語の文法用語。verbe auxiliaire の省略した言い方。

averbal
文で「動詞がない」ことを意味する文法用語。 phrase averbal (動詞がない文)、expression averbale(動詞がない表現)など。

capitale
「大文字」を意味するフランス語の文法用語。lettre capitale の省略した言い方。反対語は minuscule(小文字)。

cardinal
1) [名詞]「基数」(nombre cardinal の nombre の省略)。2) [形容詞]「基数をあらわす」。

CC
complément circonstanciel の略。本講座ではこの略語は使用していません。

chose
「人か物か」というときの「物」を意味するフランス語の文法用語(反対語は personne)。

COD
complément d'objet direct の略。本講座ではこの略語は使用していません。

COI
complément d'objet indirect の略。本講座ではこの略語は使用していません。

comparatif
比較級」を意味するフランス語の文法用語。次の 3 つに分けれます。
  comparatif de supériorité (優等比較)
  comparatif d'infériorité (劣等比較)
  comparatif d'égalité (同等比較)
「比較級・最上級」のページを参照してください。

complément
補語」を意味するフランス語の文法用語。

complément circonstanciel
状況補語」を意味するフランス語の文法用語。フランスでは CC と略されることがあります。

complément d'objet
目的補語」を意味するフランス語の文法用語。フランスでは CO と略されることがありますが、本講座では「目的補語」(CO)ではなく、英語流に「目的語」(O)と呼んでいます。

complément d'objet direct
「直接目的補語」を意味するフランス語の文法用語。フランスでは COD と略されることがありますが、本講座では「直接目的補語」(COD)ではなく、英語流に「直接目的(語)」(OD)と呼んでいます。

complément d'objet indirect
「間接目的補語」を意味するフランス語の文法用語。フランスでは COI と略されることがありますが、本講座では「間接目的補語」(COI)ではなく、英語流に「間接目的(語)」と呼んでいます。

complement d'objet second
フランスで使われることがある文法用語で、直訳すると「第二目的補語」。 COS と略されます。要するに第 5 文型をとる動詞とセットで使われる前置詞の後ろの要素のことで、例えば donner A à B や éloigner A de B の B に相当する言葉を指します。本講座では、英語流に「間接目的(語)」と呼んでいます。

concession
譲歩」を意味するフランス語の文法用語。

concordance des temps
時制の一致」を意味するフランス語の文法用語。

cond.
条件法」を意味するフランス語の文法用語 conditionnel の略。 d の後ろのピリオドは「それ以下の部分は省略」という意味。ただし、本講座ではこの略語はあまり使っていません。

conditionnel
条件法」を意味するフランス語の文法用語。

conditionnel modal
法としての条件法」を意味するフランス語の文法用語。

conditionnel passé deuxième forme
「条件法過去第二形」を意味するフランス語の文法用語。「高度な条件法の用法」のページを参照してください。

conditionnel temporel
時制としての条件法」を意味するフランス語の文法用語。

conjonctif
「接続詞」を意味するフランス語の文法用語。conjonction と同じ。

conjonction de coordination
等位接続詞」を意味するフランス語の文法用語。

conjonction de subordination
従属接続詞」を意味するフランス語の文法用語。

conjugaison
活用」を意味するフランス語の文法用語。

consonne
「子音」を意味するフランス語の文法用語。頭文字を取って大文字の C で表すことがあります。

contraction de l'article
逐語訳すると「冠詞の縮約」(「縮約」を参照)。

coordination
等位」を意味するフランス語の文法用語。

coordonnant
等位接続詞」を意味するフランス語の文法用語。

copule
「繋辞」を意味するフランス語の文法用語。「繋合動詞」の項目を参照してください。

COS
complement d'objet second の略。本講座ではこの略語は使用していません。

cursive
「筆記体」のこと。
⇒「筆記体」のページ

déterminant
限定辞」を意味するフランス語の文法用語。

dislocation
遊離」を意味するフランス語の文法用語。

emploi
一般に「用法」を意味するフランス語の文法用語。

empl. impers.
「非人称用法」を意味するフランス語の文法用語 emploi impersonnel の略。「非人称の il と一緒に使う」ことを意味します。

élision
エリジヨン(エリズィヨン)」を意味するフランス語の文法用語。

ellipse
「省略」を意味するフランス語の文法用語。

emploi nominal
「名詞的用法」を意味するフランス語の文法用語。

enchaînement
アンシェヌマン」を意味するフランス語の文法用語。

épithète
付加形容詞」を意味するフランス語の文法用語。

exclamatif
感嘆詞」を意味するフランス語の文法用語。
mot exclamatif とも言います。

factitif
使役動詞」を意味するフランス語の文法用語。

féminin
「女性形」を意味するフランス語の文法用語。
genre féminin の略です(genre の項目を参照)。

figé
「固まった」つまり「固定した、熟語の、慣用の」を意味するフランス語の文法用語。 expression figée(熟語表現、慣用表現)などという使い方をします。

forme tonique
強勢形」を意味するフランス語の文法用語。

futur antérieur
時制の一種、直説法「前未来」を意味するフランス語の文法用語。

futur proche
近接未来」を意味するフランス語の文法用語。

futur simple
時制の一種、直説法「単純未来」を意味するフランス語の文法用語。

genre
「男性名詞、女性名詞」、形容詞の「男性形、女性形」などという時の「性」を意味するフランス語の文法用語。具体的には、
  genre masculin 男性
  genre féminin 女性
の 2 つがあり、略して masculin, féminin と呼ばれます。
よく nombre(数)とセットで genre et nombre(性と数)と言います(accord en genre et en nombre など)。
genre という言葉は他にも色々な意味があるので、この意味であることを明確にするためには genre grammatical(文法的な意味での「性」)と言います。

h aspiré
有音の h 」を意味するフランス語の文法用語。

h muet
無音の h 」を意味するフランス語の文法用語。

imparfait
時制の一種、「半過去」を意味するフランス語の文法用語。
imparfait de l'indicatif(直説法半過去
imparfait du subjonctif(接続法半過去
の 2 つがあります。

impers.
「非人称」を意味するフランス語の文法用語 impersonnel の略。「非人称の il と一緒に使う」ことを意味します。

impersonnel
「非人称」を意味するフランス語の文法用語。「非人称の il 」を参照してください。

incise
「挿入句」、「挿入節」を意味するフランス語の文法用語。proposition incidente とほぼ同じ。

ind.
「直説法」を意味するフランス語の文法用語 indicatif(次の項目を参照)の略。

indicatif
「直説法」を意味するフランス語の文法用語。

inf.
「不定詞」「不定法」などを意味するフランス語の文法用語「infinitif」の略。 f の後ろのピリオドは「それ以下の部分は省略」という意味。
上記「不定詞」の項目を参照してください。

injonctif
「命令を表す」という意味で使われることがあるフランス語の文法用語。命令法以外のもの(たとえば独立節での接続法による3人称に対する命令など)も含まれます。

interjection ; interjectif
間投詞」を意味するフランス語の文法用語。

interrogatif
疑問詞」を意味するフランス語の文法用語。

juxtaposition
併置」を意味するフランス語の文法用語。

liaison
リエゾン」を意味するフランス語の文法用語。

loc.
locution(次項)の略。

locution
」を意味するフランス語の文法用語。
一般に「慣用句、熟語表現」の意味でも使われます。

locution conjonctive
接続詞句」を意味するフランス語の文法用語。

locution conjonctive de subordination
従属接続詞句」を意味するフランス語の文法用語。

locution prépositive
前置詞句」を意味するフランス語の文法用語。

masculin
「男性形」を意味するフランス語の文法用語。
genre masculin の略です(genre の項目を参照)。

minuscule
「小文字」を意味するフランス語の文法用語。lettre minuscule の省略した言い方。反対語は capitale(大文字)。

mode
」を意味するフランス語の文法用語。


「ローマ数字」のページの「n° と数字の右上の °」 を参照。

N. B.
「注」「注記」の意味。ラテン語 nota bene(ノータ・ベーネ)の略。このラテン語をフランス語に逐語訳すると Notez bien(よく注意しなさい)。

ne explétif
虚辞の ne 」を意味するフランス語の文法用語。

nom
「名詞」を意味するフランス語の文法用語。
nom propre 固有名詞 ←→ nom commun 普通名詞
nom abstrait 抽象名詞 ←→ nom concret 具象名詞
nom collectif 集合名詞
などの分類があります。

nom collectif
集合名詞」を意味するフランス語の文法用語。

nombre
数(すう)、つまり「単数形か複数形か」を指します。
よく genre(性)とセットで genre et nombre(性と数)と表現されます(accord en genre et en nombre など)。

nombre cardinal
基数」を意味するフランス語の文法用語。単に cardinal ともいいます。

nombre ordinal
序数」を意味するフランス語の文法用語。単に ordinal ともいいます。

nominal
形容詞で「名詞の」または名詞で「名詞的語句」を意味するフランス語の文法用語。

objet
目的語」を意味するフランス語の文法用語。

œ
フランスの印刷業界では、oe という並びになった場合は、伝統的に o と e をくっつけた œ という文字(いわゆる「合字」)を使用します。たとえば œil(目)、œuvre(作品)などです。
インターネット上では、この文字を使わずに o と e を分離して oeil, oeuvre のように書く場合もありますが、伝統的な書き方ではありません。
なお、発音記号にも、たまたまこれと同じ記号があります。

optatif
「祈願を表す」という意味で使われることがあるフランス語の文法用語。独立節で使われる接続法の「~しますように」など。 phrase optative(祈願文)などという使い方をします。

ordinal
1) [名詞]「序数」(nombre ordinal の nombre の省略)。2) [形容詞]「序数をあらわす」。

orthographe
正書法」のこと。

participe
分詞」を意味するフランス語の文法用語。
現在分詞(participe présent)と過去分詞(participe passé)があります。

participe passé
「過去分詞」を意味するフランス語の文法用語。

participe présent
「現在分詞」を意味するフランス語の文法用語。

passé antérieur
時制の一種、直説法「前過去」を意味するフランス語の文法用語。

passé composé
時制の一種、直説法「複合過去」を意味するフランス語の文法用語。

passé récent
近接過去」を意味するフランス語の文法用語。

passé simple
時制の一種、直説法「単純過去」を意味するフランス語の文法用語。

pers.
personne の略。

personne
人称」を意味するフランス語の文法用語。
 première personne(1人称)
 deuxième personne(2人称)
 troisième personne(3人称)
の 3 つがあります。
これを「数」と組み合わせ、
 première personne du singulier(1人称単数)
 deuxième personne du singulier(2人称単数)
 troisième personne du singulier(3人称単数)
 première personne du pluriel(1人称複数)
 deuxième personne du pluriel(2人称複数)
 troisième personne du pluriel(3人称複数)
という言い方をします。
たとえば「parler à la première personne du singulier」(1人称単数を使って話す)は要するに「『私は』という言葉を使って話す」という意味で、文法以外の文脈でも使われます。
また、personne は「人か物か」というときの「人」という意味でも使われます(反対語は chose)。

phrase emphatique
強調構文」を意味するフランス語の文法用語。

phrase exclamative
感嘆文」を意味するフランス語の文法用語。

phrase interrogative
疑問文」を意味するフランス語の文法用語。

pl.
「複数」「複数形」を意味するフランス語の文法用語 pluriel の略。

pluriel
「複数」「複数形」を意味するフランス語の文法用語。

plus-que-parfait
時制の一種、「大過去」を意味するフランス語の文法用語。「plus」の末尾の s も発音します。(「プリュスクパルフェ」と発音)。
plus-que-parfait de l'indicatif(直説法大過去
plus-que-parfait du subjonctif(接続法大過去
の 2 つがあります。

points de suspension
中断符」を意味するフランス語の文法用語。

point d'exclamation
「感嘆符」を意味するフランス語の文法用語。感嘆文の末尾につける「 ! 」の記号のこと。

postposé
形容詞の「付加的用法」において、形容詞を名詞の「後ろに置く」ことを意味するフランス語の文法用語(反対語は antéposé)。

p.p.
「過去分詞」を意味するフランス語の文法用語 participe passé の略。2つの p の後ろのピリオドは、各単語の「それ以下の部分は省略」という意味。
このページの「分詞」の項目も参照。

pr.
「代名詞」を意味するフランス語の文法用語 pronom の略。

prédicat
「述語」「述部」を意味するフランス語の文法用語。 sujet(主語、主部)の対語。

préfixe
接頭語」を意味するフランス語の文法用語。

préposition
前置詞」を意味するフランス語の文法用語。

présent
時制の「現在」「現在形」を意味するフランス語の文法用語。
présent de l'indicatif(直説法現在
présent du conditionnel(条件法現在
présent du subjonctif(接続法現在
の 3 つがあります。

présent historique
歴史的現在」を意味するフランス語の文法用語。présent narratif とも言います。

pronom
「代名詞」を意味するフランス語の文法用語。 pr. と略されます。

pronom démonstratif
「指示代名詞」を意味するフランス語の文法用語。
cecelui があります。

pronom indéfini
不定代名詞」を意味するフランス語の文法用語。pr. ind. や pr. indéf. などと略されます。

pronom interrogative
疑問代名詞」(lequel, qui, que, quoi など)を意味するフランス語の文法用語。

pronom neutre
中性代名詞」を意味するフランス語の文法用語。

pronom personnel
人称代名詞」を意味するフランス語の文法用語。

pronom possessif
所有代名詞」を意味するフランス語の文法用語。

pronom réfléchi
再帰代名詞」を意味するフランス語の文法用語。

pronom relatif
関係代名詞」を意味するフランス語の文法用語。

pronom tonique
「代名詞の強勢形」を意味するフランス語の文法用語。

proposition
」を意味するフランス語の文法用語。

proposition concessive
譲歩節」を意味するフランス語の文法用語。単に concessive とも言います。

proposition incidente
「挿入節」を意味するフランス語の文法用語。incise とほぼ同じ。

proposition participale, proposition participe
分詞節」を意味するフランス語の文法用語。

proposition participiale absolue, proposition participe absolue
絶対分詞節」を意味するフランス語の文法用語。

proposition principale
「主節」を意味するフランス語の文法用語。

proposition relative
関係詞節」を意味するフランス語の文法用語。

proposition subordonnée
従属節」を意味するフランス語の文法用語。

qc
quelque chose(何か)」の略(頭文字)。「ケルク ショーズ」と読みます。「人」ではなく「物」がくることを意味します。

qch
上の「qc」と同様、「quelque chose(何か)」の略。「ケルク ショーズ」と読みます。

qn
quelqu'un(誰か)」の略(最初の q と最後の n )。「ケルカン」と読みます。「物」ではなく「人」がくることを意味します。

qqc
上の「qc」と同様、「quelque chose(何か)」の略。「ケルク ショーズ」と読みます。

qualifier
修飾する」「係る」を意味するフランス語の文法用語。

réciproque
verbe pronominal réciproque(相互的代名動詞)のこと。

réfléchi
verbe pronominal réfléchi(再帰的代名動詞)のこと。

relatif
関係詞」を意味するフランス語の文法用語。

semi-auxiliaire
準助動詞」を意味するフランス語の文法用語。「半助動詞」と訳す場合もあります。

singulier
「単数」「単数形」を意味するフランス語の文法用語。

subj.
接続法」を意味するフランス語の文法用語 subjonctif の略。 j の後ろのピリオドは「それ以下の部分は省略」という意味。ただし、本講座ではこの略語はあまり使っていません。

subjonctif
「接続法」を意味するフランス語の文法用語。「接続法とは何か」については、「条件法・接続法」のページを参照してください。

substantif
「実詞(じっし)」と訳されます。「実体(substance)つまり実際に存在する物を表わす言葉」というのが元の意味で、要するに「名詞」と同じ意味です。
日本では「実詞」という文法用語はあまり使われませんが、フランスでは substantif は nom(名詞)と同じ意味でよく使われます。
substantif は 「実詞の」(=つまり「名詞の」)という形容詞にもなります。例:
 emploi substantif 名詞的用法
 proposition substantive 名詞節

sujet
「主語」を意味するフランス語の文法用語。

sujet apparent (sujet grammatical)
「仮主語」を意味するフランス語の文法用語。

sujet réel (sujet logique)
「意味上の主語」を意味するフランス語の文法用語。

superlatif
「最上級」を意味するフランス語の文法用語。「比較級・最上級」のページを参照してください。

syllabe
音節」を意味するフランス語の文法用語。

synonyme
「同義語、類義語」。この反対語は antonyme

temps
時制」を意味するフランス語の文法用語。

tiret
ティレ(ダッシュ)」を意味するフランス語の文法用語。

trait-d’union
トレデュニオン(ハイフン)」を意味するフランス語の文法用語。

v. intr.
自動詞」を意味するフランス語の文法用語 verbe intransitif の略。

v. t.
他動詞」を意味するフランス語の文法用語 verbe transitif の略。

v. t. ind.
間接他動詞」を意味するフランス語の文法用語 verbe transitif indirect の略。3 つのピリオドは、各単語の「それ以下の部分は省略」という意味。ただし、本講座ではこの略語は使っていません。

v. tr.
他動詞」を意味するフランス語の文法用語 verbe transitif の略。

verbe
「動詞」を意味するフランス語の文法用語。 v. または vb と略されます。

verbe auxiliaire
助動詞」を意味するフランス語の文法用語。単に auxiliaire とも言います。

verbe copule
繋合動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe défectif
欠如動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe en -er
ウーエル動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe en -ir
イーエル動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe impersonnel
逐語訳すると「非人称動詞」ですが、要するに「非人称の il 」と一緒に 3 人称単数で使う動詞のこと。具体的には falloirpleuvoir などです。

verbe intransitif
自動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe irrégulier
不規則動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe essentiellement pronominal
本質的代名動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe pronominal
代名動詞」を意味するフランス語の文法用語。複数形は「verbes pronominaux」。

verbe pronominal à sens passif
受動的代名動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe pronominal réciproque
相互的代名動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe pronominal réfléchi
再帰的代名動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe régulier
規則動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe trans. indir.
間接他動詞」を意味するフランス語の文法用語 verbe transitif indirect の略。

verbe transitif
他動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe transitif direct
直接他動詞」を意味するフランス語の文法用語。

verbe transitif indirect
間接他動詞」を意味するフランス語の文法用語。

voix
」を意味するフランス語の文法用語。基本的には、
 voix active 能動態
 voix passive 受動態
の 2 つに分かれますが、この他に
 voix pronominale 代名態
をつけ加える場合もあります(要するに「代名動詞」を使った表現のこと)。

voix passive
受動態」を意味するフランス語の文法用語。

voyelle
母音」を意味するフランス語の文法用語。頭文字を取って大文字の V で表すことがあります。

voyelle nasale
鼻母音」意味するフランス語の文法用語。

記号

é, è, à, ù, â, ê, î, ô, û, ë, ï, ü, ç
上記「アクサン」の項を参照してください。

«  »
上記「ギユメ」の項を参照してください。

° (数字やアルファベットの右上につける「度」のような記号)
「ローマ数字」のページの「n° と数字の右上の ° について」を参照してください。

- (ハイフン)
上記「トレデュニオン」の項を参照してください。


数値の前につけ、「約」「ほぼ等しい」の意味になります(日本語の「≒」に相当)。
「~」を上下に2つ重ねた記号や、「~」の下に-(マイナス)を重ねた記号を使うこともあり、どれも同じ意味です。
ちなみに、フランス語で「~」という記号を「から」(数値範囲)の意味に使うことはふつうはありません。「から」の意味では「 - 」(ハイフン)を使います。つまり、次の表のような対応関係になります。

約50
(概数)
20から30
(数値範囲)
フランス語~5020-30
日本語≒5020~30

英語もフランス語と同じはずです。









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