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高度な条件法の用法

高度な条件法の用法

条件法・接続法」のページでは説明しきれない、中級・上級向けの内容について取り上げます。

条件法過去第二形

「過去の事実に反する仮定」は、普通、

  「Si+直説法大過去,条件法過去

で表現しますが、この「条件法過去」の代わりに「接続法大過去」を使用することもあります。この「接続法大過去」のことを「条件法過去第二形」と呼びます。「第二形」ではなく「別形」と呼ぶこともありますが、要するに「条件法過去の代わりに、その第二の形(別の形)として使われる接続法大過去」という意味です。

さらに、「条件法過去」の代わりだけでなく、Si の後ろの「直説法大過去」の代わりに「接続法大過去」を使用することもできます。これは、Si の後ろの「直説法大過去」は、実質的には「条件法過去」を意味するからです。

「条件法過去第二形」は、特に 3 人称単数で使うことが多いため、「条件法・接続法」のページで挙げた例文の主語を 3 人称単数に変えてみましょう。

過去の事実に
反する仮定
従属節主節
定式表現 Si + 直説法大過去,
S'il avait été riche,
 条件法過去
il aurait fait le tour du monde.
条件法過去第二形
を使った表現
 Si + 接続法大過去,
S'il eût été riche,
 接続法大過去
il eût fait le tour du monde.

「eût」は助動詞 avoir の接続法半過去(3人称単数)で、「接続法半過去 + p.p.」で「接続法大過去」になります。

Si の後ろの「直説法大過去」と、主節の「条件法過去」の、どちらかだけを接続法大過去に書き換えてもいいし、両方とも接続法大過去に書き換えても構いません。

もうひとつ例文を挙げましょう。17世紀の思想家パスカルの有名な言葉です。

  Le nez de Cléopâtre, s'il eût été plus court, toute la face de la terre aurait changé.
  (クレオパトラの鼻、もしそれがもっと短かかったとしたら、地球の全表面は変わっていたことだろう)

「nez」は「鼻」。「Le nez de Cléopâtre (クレオパトラの鼻)」の部分は、メインとなる文から「遊離」して(=飛び出して)文頭に置かれており、これを代名詞 il で受け直す形になっています(本来の形は「Si le nez de Cléopâtre eût été...」です)。
この文の si の後ろは eût été (être の接続法大過去)になっており、この部分がいわゆる「条件法過去第二形」です。定式通りには、ここは直説法大過去で avait été となります。
「court」は形容詞で「短い」。「face」は「顔」または「表面」。「terre」は「地球」。
主節の aurait changé の部分は定式通り条件法過去になっていますが、この部分を接続法大過去(条件法過去第二形)にして eût changé とすることもできます。
つまり、次の表の前半(従属節)と後半(主節)を組み合わせ、4 通りの形が可能です。

過去の事実に
反する仮定
従属節主節
定式表現 Si + 直説法大過去,
s'il avait été plus court,
 条件法過去
toute la face de la terre aurait changé
条件法過去第二形
を使った表現
 Si + 接続法大過去,
s'il eût été plus court,
 接続法大過去
toute la face de la terre eût changé


なぜ「条件法過去」でも「接続法大過去」でも同じ意味になるかというと、フランス語には元来、直説法と接続法しかなく、「非現実の仮定」は、古くは接続法で表現していました。
ところが、数世紀前に、単純未来と半過去を合わせた活用形を持つ「条件法」が作り出され、それ以来、「非現実の仮定」は、条件法で表現するようになりました。
つまり、接続法によって「非現実の仮定」を表わすのは、古語法(古い用法)の名残りであると言えます。そのため、条件法過去と接続法大過去のどちらを用いても、「ニュアンスの違い」といったものは存在しません。

「条件法過去第二形」は、会話では使われませんが、新聞・雑誌や硬い文章では、現代でも頻繁に使用されますので、習得しておく必要があります。

ただし、「条件法過去第二形」は主として3人称単数で使用されます。なぜかというと、接続法大過去は「助動詞 avoir(または être)の接続法半過去+本動詞の過去分詞」で表わしますが、これに含まれる「接続法半過去」の 3 人称単数以外の活用が面倒だから(耳慣れないから)だと思われます。
3人称単数だと、どの動詞も接続法半過去と単純過去が発音上まったく同じになるため、使ってもあまり違和感がないのです。

条件法による条件節

「条件節」とは、「Si... (もし...)で始まる従属節」のことです。
単なる非現実の仮定に「譲歩」の意味が追加される場合は、条件節において、
  si を省いて時制を条件法にし、主語と動詞を倒置にする
ことも可能です。

現代では、通常、譲歩の意味が加わる場合のみ、この形にします。
ただし、特に硬い文章では、「譲歩」の意味が加わらない、単なる「非現実の仮定」の場合にも、この形にすることができます。
また、「倒置」にしない場合もあります(単に si を省いて時制を条件法にするだけの場合もあります)。

この表現では、条件節の部分でも条件法を使用することになります。

条件節(=従属節)主節
現在の事実に
反する仮定
Si + 直説法半過去,
条件法現在
条件法現在
過去の事実に
反する仮定
Si + 直説法大過去,
条件法過去
条件法過去

例えば、「条件法・接続法」のページで挙げた非現実の仮定に「譲歩」の意味が加わった例文の場合、それぞれ下の段のように言うこともできます。

条件節(=従属節)主節
現在の事実に
反する仮定
Si + 直説法半過去,
Si j'étais riche,
 条件法現在
je ne ferais pas le tour du monde.
条件法現在,
Serais-je riche,
過去の事実に
反する仮定
Si + 直説法大過去,
Si j'avais été riche,
 条件法過去
je n'aurais pas fait le tour du monde.
条件法過去,
Aurais-je été riche,

Serais や Aurais と je の間にあるハイフンは、主語が代名詞で、主語と動詞が倒置になった場合には必ず入れます(疑問文の場合と同様)。

条件法現在第二形

よく使われる「条件法過去第二形」の他に、「条件法現在第二形」というのも存在します。両者を比較・整理すると、次のようになります。

  • 条件法過去第二形:条件法過去(および si の後ろの直説法大過去)の代わりに用いられる接続法大過去のこと。
    現代でも、3 人称単数を中心に文章語(新聞など)では頻繁に用いられます。
  • 条件法現在第二形:条件法現在(および si の後ろの直説法半過去)の代わりに用いられる接続法半過去のこと。
    19 世紀までの文章では多用されましたが、現代では、熟語表現(次の fût-il, fût-ce など)以外では、ほとんど用いられません

fût-il, fût-ce

「条件法現在第二形」を用いた熟語の代表格が、fût-il と fût-ce です。fût は être の接続法半過去(3人称単数)なので、これに関しては辞書で être の熟語欄(fût-il, fût-ce, serait-il, serait-ce のいずれかの項目)を見れば「たとえ~だとしても」という訳で載っています。ただし、辞書には、なぜ、そういう意味になるかという文法的な説明がないので、ここで説明すると、次の表のようになります。

il :一語を指すce:漠然と指す
1.si + 直説法半過去  s'il était  si c'était
2. 条件法現在serait-ilserait-ce
3. 接続法半過去fût-ilfût-ce

左上の 1. の「s'il était」は「もし仮に彼(それ)が~だったとしたら」という非現実の仮定ですが、これに譲歩が加わると、「もし仮に彼(それ)が~だったとしても」となります。
この場合、表の 2. および 3. の表現も使うことができます。

1. から 2. への転換については、「条件法を用いた条件節」の項を参照してください。
si が取れて時制が条件法になり、主語と動詞は倒置されています。
2. から 3. への転換は、「条件法現在第二形」によるものです。

なお、serait-ce ~, fût-ce ~ に ne... que が加わった表現、
  ne serait-ce que
  ne fût-ce que
     (たとえそれが~でしかないにしても)

も、(話し言葉でも)よく使われるので、あわせて覚えておくと役に立ちます。







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