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北鎌フランス語講座 - 文法編「再帰代名詞」

再帰代名詞     関連ページ:l'un l'autre

「再帰代名詞」は、多くの文法書のように「代名動詞」として処理せずに、いったん動詞から再帰代名詞だけを切り離し、あえて「自分」と訳して、直接目的なのか間接目的なのかを区別して考えることが、文法力・構文把握力をつける上で重要です。

再帰代名詞の変化

再帰代名詞は、辞書では「se」の項目に出ていますが、「se」という形になるのは 3 人称(単数・複数)の時だけで、あとは人称代名詞で代用します。

なぜかというと、「私」は 1 人しかいないため、「私はを...」と言っても「私は自分を...」の意味だとわかりますが(「君」の場合も同様)、3 人称の場合は、「彼は彼を...」と言うと 2 番目の「彼」が最初の「彼」と同一人物なのか違う人物なのかわからないため、「自分」であることを明確にするために se という特別な形が用いられると考えられます。

母音で始まる言葉の前では、表のカッコ内の形になります
(この表の例では「regarder」が子音で始まるため、カッコ内は無視してください)。

主語再帰代名詞動詞意味
jeme (m')regarde私は自分を見つめる
tute (t')regardes君は自分を見つめる
ilse (s')regarde彼は自分を見つめる
nousnousregardons私達は自分達(お互い)を見つめる
vousvousregardezあなた達は自分達(お互い)を見つめる
(あなたは自分を見つめる)
ilsse (s')regardent彼らは自分達(お互い)を見つめる

この表の例では、「regarder (見つめる)」が他動詞なので、再帰代名詞は直接目的(OD)になっています。

再帰代名詞の意味と訳し方

 1. 再帰的

(1)直接目的(OD)「自分を」
例えば、
  Je me regarde. (私は自分を見つめる)
という場合です。
ただ、これはとりあえずの逐語訳で、実質的には次の「2. 自動詞的・受身的」になる場合が少なくありません。

(2)再帰的(OI )「自分に」
間接目的(OI )なら、典型的には「自分に」と訳します。
ただし、体の一部を表す名詞と一緒に使う場合は、その名詞に掛けて「自分の」と訳します(下記 例文 6 を参照)。

 2. 自動詞的・受身的

(1)他動詞を自動詞的な意味に変換
これは主に「人」が主語の場合です。
「自分を~させる」→「~する」という意味になります。

(2)受身的「~される」
もとは 1. (1)「自分を」という直接目的(OD)で、「自分を~する」、つまり「~される」 という意味になる場合です。「物」も「人」も主語になります。
再帰代名詞を使っても受動態と同じ意味になる場合があるのは、このためです。

 3. 相互的

これは主語が複数の場合です。
直接目的(OD)なら「互いを~しあう
間接目的(OI )なら「互いに~しあう」となります。
例えば、
  Ils se regardent. (彼らはお互いを見つめあう
という場合です。
「互いに(互いを)」という意味を強調したい場合は、l'un l'autre を添えます。

 4. 熟語的

これは、「再帰代名詞」と「他動詞」に分解して解釈することができず、「熟語」と捉えるしかない場合です。特に、再帰代名詞とセットでしか使われない動詞のことを、「本質的代名動詞」と呼ぶ場合もあります。
この場合、再帰代名詞は直接目的(OD)扱いとなります。

なお、再帰代名詞を使う場合、動詞はすべて直接他動詞です(自動詞や間接他動詞と一緒に再帰代名詞を使うことはありません)。
つまり、再帰代名詞が入っている文は、第3、第5、第6文型のいずれかの文型になります。

以上のどの分類に該当するか考えながら、次の項目の例文を読んでください。

再帰代名詞の例文と解釈

 例文 1 : Je m’appelle ~.

これはフランス語を習い始めた人なら誰でも知っている表現で、「私の名前は~です」という意味です。しかし、なぜこのような意味になるのかは、必ずしも教わるわけではありません。「s'appeler ~」は「~という名前である」という意味の「代名動詞」だとすると、単なる丸暗記になってしまい、文の構造を分析的に捉えることはできません。

実は、「appelle」は他動詞 appeler (呼ぶ)の現在(1人称単数)で、文の要素に分けると、「Je」が主語(S)、「appelle」が動詞(V)、再帰代名詞「m’」が直接目的(OD)、「~」の部分が属詞(C)で、第6文型となり、「私は自分を~と呼ぶ」というのが元の意味です。

この再帰代名詞は、上記 2.(2)受身的「~される」に該当するため、「私は~と呼ばれる」という意味になり、最終的に「私の名前は~です」となるわけです。

また、「あなたの名前は何ですか?」は、

  Comment vous appelez-vous ?

と言いますが、これは疑問文なので主語と動詞が倒置になってハイフンで結ばれており、「appelez」が動詞(V)、その後ろの「vous」が主語(S)、動詞の直前の「vous」が再帰代名詞で直接目的(OD)、「Comment (どのように)」が属詞(C)で第6文型です。

「あなたは自分をどのように呼んでいますか?」というのが元の意味ですが、この再帰代名詞も上記 2.(2)受身的「~される」に該当するため、「あなたはどのように呼ばれていますか?」という意味になり、最終的に「あなたの名前は何ですか?」となります。

 例文 2 : L'histoire se répète.

「histoire」は「歴史」。「h」は発音せず、母音で始まるので「Le」が「L'」となっています。
「répète (繰り返す)」は第3文型をとる直接他動詞 répéter の現在(3人称単数)。この直接目的が「se」です。

直訳すると「歴史は自らを繰り返す」。これも上記 2.(2)受身的「~される」に該当し、「歴史は繰り返される」となります。

 例文 3 : Elle s’éloigne de lui.

最後の「lui (彼)」は前置詞の後ろなので強勢形になっています。
動詞「éloigne」は規則動詞 éloigner (遠ざける)の現在(3人称単数)。この動詞は第5文型をとる動詞で、次のような使い方をします。

éloigner の
基本的な使い方
éloigner A de BA を B から遠ざける」
再帰代名詞を
使った表現
s’éloigner de ~自分を~から遠ざける」
→「~から遠ざかる」

A」の部分が再帰代名詞「se」に代わると、代名詞なので動詞の直前に移動し、さらに動詞が母音で始まるため「e」が落ちてアポストロフ「’」に変わって「s’」となります。「B」の部分は「~」に変わっています。
意味は「自分を~から遠ざける」、つまり「~から遠ざかる」となります。
これは、上記 2. (1)他動詞を自動詞的な意味に変換する働きによるものです。
この例文でいうと、「s’」が「A」、「lui」が「B」に相当し、「彼女は自分を彼から遠ざける」、つまり「彼女は彼から遠ざかる」となります。

 例文 4 : Je me demande si cette information est exacte.

「Je me...」となっているので、この「me」は再帰代名詞です。
「si...」は「もし...」ではなく、ここでは「...かどうか」という意味(英語の「if」と同様)。
「demande」は規則動詞 demander (尋ねる)の現在(1人称単数)。「information (情報)」は女性名詞なので、それに合わせて「この」を意味する「ce」が女性単数の「cette」に変わり、「正確な」を意味する形容詞「exact」にも女性単数の「e」がついています。
文の要素に分けると、まず「si」の後ろだけで見ると、「cette information」が小さな主語(S)、「est」が小さな動詞(V)、「exacte」が小さな属詞(C)となり、「si cette information est exacte (この情報が正確かどうか)」という従属節全体が「demande」の直接目的(OD)となっています。
「demander」も第5文型をとる動詞で、次のように使います。

demander の
基本的な使い方
demander A à B「A を B に尋ねる」
再帰代名詞を
使った表現
se demander ~自分に~を尋ねる」
→「~を自問する」

今度は、「A」が「se」になっているわけではありません。「A」が「se」になっていると取ると、前置詞 à が消えていることの説明がつきません。
実は、「A」は「~」になっており、「à B」が「se」に変わっています。これは、「前置詞 à + 人」は代名詞に置き換わると間接目的一語になり、 à は消えるためです。

上の例文では、「si cette information est exacte」全体が直接目的(OD)です(表の「A」に相当)。とすると、消去法で再帰代名詞「me」は間接目的(OI )ということになり(「à B」に相当)、上記 1. (2)「自分に」に該当することになります。従って直訳すると、

  「私はこの情報が正確かどうかを自分に尋ねる」

となり、要するに「私はこの情報が正確かどうか自問する」、くだけて使うなら、「本当にこの情報は正確なのかなあ」という感じでも使われます。

前述の通り、再帰代名詞を使う場合、動詞はすべて直接他動詞ですが、再帰代名詞がその他動詞の直接目的(OD)になるとは限りません。再帰代名詞は間接目的(OI )になる場合もあります。ですから、

  他に直接目的になりうるものがなければ、再帰代名詞が直接目的
  他に直接目的になりうるものがあれば、 再帰代名詞は間接目的

になります。このように、文の構造を考える場合は、再帰代名詞以外のものを先に確定したのち、再帰代名詞は消去法で直接目的か間接目的か決めるようにしてください。

 例文 5 : Elle se cache derrière un arbre.

「cache」は他動詞 cacher (隠す)の現在(3人称単数)。前置詞「derrière ~」は「~の後ろに」。「arbre」は男性名詞で「木」。
文の要素に分ける時は、「derrière un arbre (木の後ろに)」は状況補語でカッコに入ります。「Elle」が主語(S)、「cache」が動詞(V)、他に直接目的になりうるものがないので、再帰代名詞「se」が直接目的(OD)です。

直訳すると「彼女は自分を木の後ろに隠す」。この再帰代名詞は、上記 2. (1)他動詞を自動詞的な意味に変換する働きを持つため、最終的に「彼女は木の後ろに隠れる」となります。

 例文 6 : Elle se cache la figure.

「Elle se cache」までは上の例文 5 と同じです。しかし、この文では「la figure」という「冠詞 + 名詞」がついています(ここでは「figure」は「顔」という意味です)。
この「la figure」を「cache」の直接目的と取らないと、ほかにこの文の中で処理のしようがありません。とすると、再帰代名詞 se は消去法間接目的となります。

体の一部を表す名詞と一緒に用いる間接目的は、「~に」ではなく「~の」という意味になるため、「se」は「自分の」という意味になります。つまり「彼女は自分の顔を隠す」となります。
このように、この再帰代名詞は上記 1. (2)に該当しますが、体の一部を表す名詞と一緒に使う場合は、その名詞に掛けて「自分の」と訳します

 例文 7 : Il se croit intelligent.

「croit」は他動詞 croire (思う)の現在(3人称単数)。
「Il (彼は)」が主語(S)、「croit」が動詞(V)で、他動詞です。直接目的はどれかというと、「intelligent (頭がいい)」は形容詞で、形容詞は単独では直接目的にはなれないため、「se」が直接目的(OD)となります。では「intelligent」は何かというと、これは属詞(C)で、全体として第6文型になっています。
第6文型の場合は、直接目的(OD)が属詞(C)とイコールになるため、ここでは「自分」イコール「頭がいい」ことになります。
「se」を直接目的らしく「自分」と訳すと、「彼は自分(つまり「自分のことを」)頭がいいと思っている」ですが、この第6文型の場合は「自分」と訳し、「彼は自分頭がいいと思っている」と訳すこともできます。

 例文 8 : Je me rappelle ce moment.

「moment」は「瞬間」。「ce (その)」が男性形なのでわかるように男性名詞。
「rappelle」は他動詞 rappeler (思い出させる)の現在(1人称単数)。活用は appeler (呼ぶ)の活用と同じで、最初に r がついているだけです。語源的には、 r は「再び」を意味する接頭語 re- と同じで、「何度も呼ぶ」ことから「思い出させる」という意味になったと想像できます。次のような使い方をします。

rappeler の
基本的な使い方
rappeler A à B「A を B に思い出させる」
再帰代名詞を
使った表現
se rappeler ~自分に~を思い出させる」
→「~を思い出す」・
「~を覚えている」

「A」が「~」になっており、「à B」が「se」になっています(さきほどと同様に「前置詞 à + 人」は代名詞に置き換わると間接目的一語になり、 à は消えるからです)。
上の例文では、「ce moment」が「~」に相当する直接目的で、再帰代名詞「me」(表では「se」)は上記 1. (2)「自分に」に該当します。
文の要素に分けると、「Je」が主語(S)、「rappelle」が動詞(V)、「ce moment」が直接目的(OD)、「me」が間接目的(OI)の第5文型です。
直訳すると、「私は自分にその瞬間のことを思い出させる」。つまり、「私はその瞬間のことを思い出す」となります(「思い出す」という動作の結果として、「覚えている」という状態にもなります)。

 例文 9 : Je me souviens de ce moment.

結論から言うと、この文は「例文 8 」と同じ意味になります。
「souviens」は sou を取れば「viens」になるため、 venir (来る)の現在(1人称単数)と同じ活用をし、不定形は souvenir です。語源的には sou- は「下に」「下から」という意味の接頭語なので、「下からやって来る」。何となく記憶に通じるような言葉です。

ただ、この動詞は基本的に再帰代名詞とセットでしか使わず、

  se souvenir de ~ 「~を思い出す、~を覚えている」

という使い方をします。つまり、再帰代名詞と動詞に分解することができず、熟語として覚えるしかありません。上記 4. 熟語的に該当します。

以上のように、再帰代名詞が出てきたら、最初から「こなれた」訳にしないで、あえて「自分に(自らに)」「自分を(自らを)」と逐語訳して、分解して考えてみることが、文法的・分析的にフランス語を捉える近道となります。
その上で、どうしても分解できないものだけを「熟語」として個別に覚えればよいでしょう。

複合過去、命令文、il faut

 1. 複合過去

再帰代名詞を使った動詞の複合過去については、「助動詞」のページを参照してください。複合過去以外の複合時制(大過去など)を作るときも同様です。

 2. 命令文

再帰代名詞を使った命令文については、命令文のページを参照してください。

 3. Il faut + 不定詞

もともと 「Il faut + 不定詞(~する必要がある)」というのは、 il が非人称であるため、「誰が」という部分(動作主、つまり動詞の意味上の主語)が曖昧な表現です。しかし、再帰代名詞は主語に合わせて変化するため、「Il faut + 不定詞」が再帰代名詞と組み合わさると、ちょっとした矛盾が起きます。
「誰が」を明確にするには、「Il faut que + 接続法」を使うか、または devoir (~しなければならない)を使用しますが、ここでは devoir を使った文と対比してみます。
動詞は se reposer (自分を休ませる→休む)です。

Il faut + inf.devoir + inf.
1

単数Il faut me reposer.Je dois me reposer.私は休む必要がある
複数Il faut nous reposer.Nous devons nous reposer.私達は休む必要がある
2

単数Il faut te reposer.Tu dois te reposer.君は休む必要がある
複数Il faut vous reposer.Vous devez vous reposer.あなたは休む必要がある
3

単数Il faut se reposer.On doit se reposer.(人は)休む必要がある

問題は最後の 3 人称の場合です。再帰代名詞は 3 人称では単数も複数も se になり、誰が「休む」のかが非常に曖昧になるため、むしろ不定代名詞 on (漠然と「人は」の意味)に対応します。
これとは別に、もちろん

  Il doit se reposer. (彼は休む必要がある)

と言うことは可能です。
ただ、実際問題として「Il faut se reposer.」には対応しなくなるわけです。



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