フランス語文法の全体像の把握を目指す、構文把握力・読解力重視の無料オンライン フランス語講座。

暗黙の比較と呼応の表現

暗黙の比較と呼応の表現     関連ページ:比較級と最上級

暗黙のうちに同等比較を含む「si」 (かくも)

辞書の「si」を引くと、「もし」という仮定の接続詞のほかにも色々な意味が載っており、
最後のほうに「強調の副詞」として「とても」「非常に」という訳が載っているはずです。

ただ、 si は très (とても)とはニュアンスが異なるため、「かくも」(これほどまでに、こんなにも)という訳を覚えておくと役に立ちます。英語の so や such に相当します。

「かくも」というのは少し古風な表現ですが、非常に簡潔で便利な言葉で、フランス語の「si」に最もぴったりくる感じがします(古風だと感じられる文脈では、実際に日本語にする時には他の言い廻しを使ってください)。

この si は、暗黙のうちに同等比較を含む表現です。
普通、「同等比較」は肯定文だと aussi を使用しますが、否定文だと si も使用します。この si とほぼ同じ意味です(ただし、否定文に限らず広く使用されます)。

比較の対象(何と比較しているか)は文の上では明確には現れませんが、目の前にあるものや、話題になっているものを指しながら、当然わかっているものとして「これと同じほど」「これほどまでに」と言っているわけです。

例えば、英語の

  such a beautiful day (かくも美しい日)

は、フランス語では次のようになります。

  une si belle journée (かくも美しい日)

単なる「とても」とは違い、目の前の光景を見たり、具体的なイメージを連想しながら、「こんなにも」と言っているわけです。

  ⇒ 他の例文

si のほかに tellement, tant も「かくも」という意味で使われます。

この「かくも」(これほどまでに、こんなにも)というが、次の項目の「呼応の表現」の前提となります(ただし、表面上は、次の項目では「とても」と訳しています)。

呼応の表現

英語の so ~ that... (とても~なので...)に類する表現は「呼応の表現」と呼ばれます。文の前半部分で「呼」びかけ、後半部分で「応」じるという、この対応関係を把握する必要があります。

以下の表は、前半の「呼」の部分にくる言葉が何を修飾するか、また、「呼」と「応」の間にどのような言葉が来るかで分類してあります。
いずれも、後半の「応」の部分は接続詞 que で始まり、特に他の要因がなければ que の後ろは直説法になります。

最もよく使うのは、1 番の si ~ que... (とても~なので...)です(表には通し番号を振ってあります)。

この si ~ que... は、que の後ろを接続法にすると「いかに~であろうとも」という意味になりますので、注意が必要です。

 1. 形容詞/副詞を修飾する場合

副詞形容詞/副詞接続詞
1 siqueS + V
2 tellement
とても~なので...だ

これは英語の so ~ that... に相当する表現です。
tellement は日常会話でよく使われます。

  ⇒ 他の例文

 2. 動詞を修飾する場合

副詞(過去分詞)接続詞
3 tantqueS + V
4 tellement
とても(多く・激しく)...ので...だ

tant または tellement と que の間には、何も言葉が挟まれない場合と、過去分詞などが挟まれる場合があります。
もともと、tant または tellement の位置は、一般の副詞の位置と同様、置く場所が厳密に決められているわけではありませんが、副詞は通常、
  単純時制の場合 → 動詞の直後
  複合時制または受動態の場合 → 助動詞と過去分詞の間
に置くのが一般的なので、tant または tellement と que の間に過去分詞が挟まるケースもよく見られます。

この tant と tellement は、単に「とても」のほか、「とても多く」、「とても激しく」などの意味にもなります。
tellement は日常会話でよく使われます。

例:

  J'ai été tellement surpris que... (私はとても驚いたので...)

「ai」は助動詞 avoir の現在(1人称単数)。「été」は助動詞 être の過去分詞。「surpris」は他動詞 surprendre (驚かせる)の過去分詞(接頭語を省けば、prendre の過去分詞 pris と同じ形です)。「ai été surpris」で受動態の複合過去となり、「驚かされた」、つまり「驚いた」となります。

 3. être とセットで使う場合

繋合動詞属詞的形容詞接続詞
5êtretel (telle)queS + V
とても大きい(激しい)ので...だ

これは繋合動詞 être の後ろで出てきます。つまり、基本的には tel (telle) は第2文型の属詞になります。例:

  Ma surprise était telle que... (私の驚きはとても大きかったので...)

「surprise」は女性名詞で「驚き」。「était」は être の半過去(3人称単数)。

 4. 名詞を修飾する場合(1)

量を表す形容詞句名詞接続詞
6 tellement dequeS + V
7 tant de
とても多くの~ので...だ

量を表す形容詞句が冠詞の代わりとなるため、冠詞はつきません。

 5. 名詞を修飾する場合(2)

冠詞付加的形容詞名詞接続詞
8un tel男性単数queS + V
une telle女性単数
de tels男性複数
 telles女性複数
とても大きい(激しい)~ので...だ

複数形では冠詞は de になりますが、これは「複数の形容詞+複数の名詞」の前では、不定冠詞 des は de になるからです。













ページトップへ
戻る

Vous êtes le 34439ème visiteur sur cette page.
aujourd'hui : 2 visiteur(s)  hier : 0 visiteur(s)


powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional